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ハッピーリッチコラム バックナンバー

『2030年、認知症患者が830万人、凍結預金が215兆円に。そのときあなたの家計は?』
    信託、相続など、対策はご本人がお元気なうちに、ご本人から~
2018/11/13

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第305号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です

 
■認知症患者の増加にともなって凍結される預金が200兆円を超える?

祖父母や親が認知症になってしまうのはご家族にとって、とても辛いことだと思います。
そして、認知症患者が増えることはそのご家族の家計のみならず日本経済にも影響を及ぼす大きな社会問題になるかもしれない、という記事です。
さて、私たちはどのように対処したらよいのでしょうか?

少し前の日経新聞の記事です。

<認知症患者、資産200兆円に 30年度 マネー凍結懸念、対策急務>
(2018年8月26日付日本経済新聞)
『高齢化の進展で認知症患者が保有する金融資産が増え続けている。2030年度には今の1.5倍の215兆円に達し、家計金融資産全体の1割を突破しそうだ。認知症になると資産活用の意思表示が難しくなり、お金が社会に回りにくくなる。国内総生産(GDP)の4割に相当するマネーが凍結状態になれば、日本経済の重荷になりかねない。お金の凍結を防ぐ知恵を官民で結集する必要がある。』

個人金融資産は年々増えていて、2017年には1,800兆円を超えたとみられています。第一生命経済研究所の試算によると、そのうち認知症患者が保有する金融資産は2017年度時点で143兆円ほどあるらしいのですが、それがこの先、2030年度には今の1.5倍、215兆円にもなるかもしれない、ということです。

政府の統計によると、認知症患者数は2015年に推計で約520万人。そして2030年には高齢化の進展に伴って、約830万人にまで増えると推計されています。この認知症患者の保有する金融資産が200兆円以上になるということですね。

 
■認知症になると資産は動かせなくなる

問題なのは、認知症になるとその人の資産が動かせなくなってしまうことです。
銀行預金は本人の意思確認がない状況では引き出すことができません。例えば、お父さんが認知症になって、その介護の費用をお父さんの口座にある預金で賄おうと思ったとき、介護にあたるお母さんや息子さんが銀行に行ってもそのお金を引き出すことはできません。
これは金融機関が、第三者による横領を警戒するためです。例え、親族であっても、資金の使いみちが本人のためであっても、預金は下せないのです。

つまり、認知症になってしまうとご本人の預金が実質凍結状態になってしまいます。冒頭の日経新聞の記事は、そのように「凍結」されるお金が200兆円以上になると経済にも大きな影響がでるということを伝えています。経済はお金の循環があってはじめて活性化しますが、日本のGDP550兆円のおよそ4割にも相当する200兆円以上の個人預金が動かなくなってしまうのです。この影響は無視できないレベルになるでしょう。

家計にとっても影響は大きい。認知症患者の介護費用や医療費を本人以外の親族が負担しなければならないことになります。預金以外でも、本人が運用していた株式も売買できなくなるし、アパート経営などをしていた場合ではアパートの修繕のためのも支出も出来なくなる、だからといってアパートを売却することも出来ないわけです。

そしてその資産の凍結、ならびに親族の立て替え支払いは認知症のご本人がお亡くなりになって、財産が相続されるまで続きます。ご親族にとっては大変な負担になりますよね。

 
■資産を凍結させないための対策は?

認知症になって、判断能力が低下した人の財産を守る仕組みとしては、「成年後見制度」があります。裁判所が認めた後見人が本人に代って預金の引き出しなどを行うことが出来る仕組みです。

ただ、現実にはまだまだ成年後見制度を利用している人はほんの一握り。認知症患者のわずか5%にも満たないと言われています。
それは後見人となる親族が近くにいないケースが多いからのようです。だからといって、弁護士のような専門家に後見人をお願いすると、当然のことながら、毎月数万円の報酬を支払い続けないといけません。

あと、成年後見制度では資産凍結問題の解消をあまり期待できないということがあります。
成年後見制度の考え方は、「本人に代って財産を守る」ということです。一定の財産を処分する場合には家庭裁判所の許可が必要なのですが、株式の売買とかアパートの大規模修繕などはほとんど認められません。だから結果として、むしろお金を動かさない状態が優先されることになってしまいがちなのです。

最近注目されているのが「民事信託」です。
民事信託とは、資産の所有している「ご本人」が「委託者」となって、自分の財産を「受託者」に移して、財産の管理・運用を任せます。任された「受託者」は「委託者」であるご本人の意向(←これを「信託の目的」といいます)にそって資産を管理・運用します。
そして、運用の結果得られた収益はあらかじめ定められた「受益者」のものになります。
通常、「受託者」になるのはお子さんなどいずれ財産を受けづく相続人がなるケースが多く、また運用収益を受け取る「受益者」は「ご本人(委託者)」がなるケースが多いです。家族間で信託関係が結ばれるケースが多いことから、この「民事信託」は「家族信託」とも呼ばれています。

これだとご本人の医療費・介護費を「受託者」である息子さんがお父さんのために使うこともできますし、積極的に株式を売買したり、保有アパートを運用したりすることもできます。

民事信託では、ご本人が無くなられた後の次の受益者を「妻に」とか「長男に」と指定することもできます。つまり、相続対策にもなります。

この「民事信託」は2007年の信託法改正によって使えるようになったのですが、実はまだまだ普及していません。あまりまだ知られていないというのもあるのかもしれませんが、ひとつには、ご本人としても家族としても、将来、認知症になることを前提に話し合うことに抵抗があるからだと言われています。認知症には誰にもなりたくない上に、気付いた時には症状が一気に進行していることも多く、家族信託の手続きをうまく進められなかったということがあるのだと思います。

 
■信託や相続はご本人がお元気なうちに

個人の財産の有効かつ適切な利用と次世代へのスムーズな移転は家計にとっても国にとっても重要なテーマです。

ただ、家族信託とか相続対策とか、ご家族が認知症になることや亡くなることを前提に家族が話し合いをするというのは気が進まないのもよくわかります。実際に苦労するのは親の面倒を見たり、財産を受け継いでいくお子さんたちなのですが、こういうお話はなかなかお子さんたちからは言い出しにくいものです。

自分の財産の円滑な承継手続きをしておくことは次世代へ果たすべき責務です。
だから、どうかお父様お母さまの方から話を切り出してもらいたいものだと思います。そのためにも、社会全体で、「相続や信託の話はご本人がお元気なうちに家族の中で進めておくことが大事」という認知を広く広げていく必要がありますね。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

 
【編集後記】 「大谷選手、新人王おめでとう!」
大谷翔平選手が日本人として、野茂、佐々木、イチローに続く4人目のメジャーリーグ新人王に輝きましたね。投手とバッターの二刀流が評価されたようですが、日本人としてとても誇らしい気持ちです。右肘の手術が終わったばかりなので来年は投手としての活躍を見ることはなさそうですが、どうか焦らずにしっかりと治してもらいたいですね。もはや大谷クンは日本だけでなく世界の球界の宝ですから。