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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第301号『稼ぎ頭事業が交代した企業はどのように事業構造を転換させたのか』
    ~新事業・新製品へ投資をする重要性とは?~
2018/09/18

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第301号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です

 
■「稼ぎ頭」事業が交代した企業は収益力が高い

仕事柄、企業の戦略にはとても興味がありますので、こういう記事は好きです。

<「稼ぎ頭」10年で2割交代  ~大日印はエレキ/ソニーは金融~ 環境対応力、市場の評価高く>
(2018年9月15日付 日本経済新聞)

『この10年間で大きく収益構造を変えた企業が相次いでいる。日本経済新聞社が主要企業を対象に事業部門別の利益を調べたところ、2割で「稼ぎ頭」が交代していたことが分かった。新たな収益の柱を育てるのに成功した企業は全体の収益力も総じて改善。環境の変化に対応できる企業として、株式市場からの評価も高めている。』

日経新聞の独自調査です。
時価総額上位の100社を対象として、2007年と2017年の事業収益を調べたところ、全体の2割にあたる21社の「稼ぎ頭」事業が交代していました。

そして、「稼ぎ頭」事業が交代した企業と、していない企業のこの10年間の収益を比較すると明確に差がついていて、「稼ぎ頭」が交代した21社の収益増加率は38%増だったのに対して、交代していない79社は21%増だったということです。

『日本企業の成長力の底上げには、収益源の再構成が避けられない。』(同記事)と結んでいます。

 
■「稼ぎ頭」事業を交代させて収益を上げた企業の事例

記事の中で事例として挙げられている企業は次の通りの事業構造の転換を果たしています。(記事から抜粋)

有名なところから行きますと、
・ソニー :エレクトロニクス→金融
・イオン :総合スーパー→金融・不動産

「ソニー」がすでにエレクトロニクス企業というよりも、銀行や保険などの金融事業者、もしくはゲームなどのエンターテイメント事業者になっているのは有名なところですね。

また、「イオン」が、総合スーパー事業よりもモールを運営する不動産事業の方が利益が大きくなっているのはよく知られていますが、実質的な「稼ぎ頭」事業は「金融」になっているようです。イオンへの来店客に向けてクレジットカードや電子マネー、銀行、保険など幅広く金融事業を展開していますよね。

自社の強みである基礎技術を応用して事業転換を果たしたのが「大日本印刷」。
「印刷・出版」事業から有機ELディスプレイ用のフィルムなど「エレクトロニクス」事業に「稼ぎ頭」が交代しています。

同じく自社技術を成長市場で活かした例として挙げられているのが、「アルプス電気」と「TDK」。
・アルプス電気 :音響製品→電子部品
・TDK :電子素材→フィルム応用製品

どちらも急拡大している「スマートフォン向け製品」で事業構造の転換に成功しました。

技術の革新とともにもともとの主力事業を成長市場にポジショニングできたのが、「東レ」。
・東レ :情報通信機器→繊維

東レは元来繊維業の大手ですが、繊維不況により情報通信機器分野などへ多角化していました。しかし、ナノテクノロジー技術を進化させて、機能性繊維の商品化に次々と成功し、本業である繊維事業が「稼ぎ頭」に復活しました。東レの機能性素材は、「ユニクロ」の大ヒット商品である「ヒートテック」に使われています。

 
■事業の再構成は「原因」ではなく「結果」

記事では、「事業を再構成したから利益が伸びた」というような言い方をしていますが、企業にとって事業の再構成は「原因」ではなく「結果」です。常に、移ろい、変化していく産業構造に必死で対応する中で、事業を多角化し伸びる事業に経営資源を集めていった結果、主力となる事業が変わっていた、ということだと思います。

自社のコアとなる技術を違う分野に応用したり、自社が築いた顧客資産に向けて新たな商品を提供したり、もしくは保有していた不動産資産を貸し出したり、別の用途に活用したりする。展開の仕方は様々ですが、基本となるのは「自社の独自の経営資源を活用する」ということと「成長分野にシフトする」ということでしょう。

しかし、「事業を再構成して収益を伸ばす」ということは簡単なことではありません。記事では事業の再構成に成功した2割の企業を紹介していますが、逆に言えば、8割は従来のままです。これだけ経営環境のスピードが速くなっている今、新規事業や新商品の開発に取り組んでいない企業はほぼないと思いますが、現実には新規事業・新製品の立ち上げはうまく行かないことの方がはるかに多いのです。

東芝は買収した北米の原子力事業が立ち行かずに失敗しました。結果、稼ぎ頭であった半導体事業やメディカル事業を売却することになりました。

経営再建中のパイオニアは、かつては、家庭用オーデイオなどアナログ家電で名を馳せ、最近では、カーナビ・カーオーディオが稼ぎ頭でしたが、デジタル化への対応が遅れました。
新規事業として、自動運転時代に向けたデジタル地図事業に取り組んでいます。デジタル地図事業が収益化するのと、既存事業がどこまで持続するかのスピード勝負になっています。

 
■既存事業が「衰退期」を迎える前に新事業を収益化できるか

こうした事例を見て思うのは、新たな事業・製品への投資は追い込まれてからやってもダメだということでしょう。
企業は「環境適応業」です。大事なのは、業界動向と産業構造の変化を常に分析して、自社の強みと資産を正しくとらえ、意思決定をして新たな分野に投資を続けることです。

事業や製品には「ライフサイクル」があります。
「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」というサイクルですね。「成熟期」に回収した資金を新たな事業や製品の開発の投資に回すか、既存事業のブラッシュアップへと再投資して衰退期を迎える前に再浮上を目指すか。
そして既存事業・既存製品が収益を稼いでいるうちに新事業・新製品を収益化することですね。

事業・製品のライフサイクルは、デジタル化の進展、少子高齢化、グローバル化など社会構造の変化に伴ってどんどん短くなっている印象があります。こんな時代だからこそ、どんな経営資源を持った企業が、どの市場のどんなニーズに対応したから成功したのか、もしくは失敗したのか、こういう分析はビジネスに関わる者としていつもしておきたいものだと思います。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

 
【編集後記】 「激しく悲しい夏」
しかし今年の夏は激しく、そして悲しかったですね。豪雨に猛暑に台風、そして地震まで起きました。被害にあわれた皆様には心よりお見舞い申し上げます。これだけの大災害が度重なった夏はなかったのではないでしょうか。私が大好きな季節が悲しみとともに終わっていきます。合掌。