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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第289号『M字カーブ解消、女性の就労環境は良くなったのか?』
    日本労働環境の本質的な問題はなにか?~
2018/03/20

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第289号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

 
■M字カーブ解消はよいことです

出産や育児で仕事を離れる女性が減っているようです。これは日本経済にとっては、まずはいいことですね。

<M字カーブほぼ解消女性、30代離職減る ~全体では就労7割 働き方改革や採用増~>
(2018年2月23日付 日本経済新聞)
『女性が出産や育児によって職を離れ、30代を中心に働く人が減る「M字カーブ現象」が解消しつつある。働く意欲のある女性が増え、子育て支援策が充実してきたのが背景だ。人手不足下の景気回復で、企業が女性の採用を増やしている面もある。』

「M字カーブ」とは、女性の就労状況を年代別のグラフにすると、アルファベットのMの形を示すことからそう呼ばれています。縦軸に労働力率(=就労者÷人口)、横軸に年齢をとると、30~40歳代で働いていない女性が増えて、グラフがくぼむのです。
日本の女性は、30代の子育て期にいったん離職して40代で子育てが一段落すると再び働く傾向があるためです。これは先進国の中では日本くらいのもので、欧米先進各国では「台形型」もしくは「逆U字型(山なり型)」になります。「M字カーブ」は、日本の女性の労働環境が整っていないことの象徴とされてきました。

この「M字カーブ」がほぼ解消されたというニュースです。
総務省が1月下旬にまとめた最新の労働力調査によると、30~34歳の女性の労働力率は75.2%。30年前には50%程度だったということですからすごい変化ですね。これで、40~44歳の77%とほぼ同じ水準になり、M字のくぼみがなくなったというわけです。

 
■家庭と仕事が両立できる環境整備を

背景にあるのは、好景気ですね。今は空前の人手不足です。有効求人倍率は1.6倍。失業率は完全雇用の目安である3%を下回る2%台が続いています。
これまで女性はパートや非正規雇用が多かったのですが、2017年には25~34歳の女性の正社員が前年対比で4万人増えて、非正規社員が3万人減りました。

それでもまだまだ課題はあります。

厚生労働省調査によりますと、現在働いていない女性で働きたいと考えているのに求職活動を行っていない理由で一番多いのは、
「家事・育児のため仕事が続けられそうにない」。
25~29 歳で56.7%、30~34 歳: 65.3%

また、現在働いている女性が今の会社で働き続ける上で必要なこととしては、
「子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境」
25~29 歳:64.7%、40~44 歳:39.2%

「育児や介護のための労働時間での配慮」
25~29 歳:47.8%、40~44 歳:40.3%

仕事と家庭の両立支援が必要とする人の割合が高くなっています。託児所・保育所の不足などや会社の就労制度の問題はまだまだあります。育児や介護をしながらでも働けるような柔軟で多様な労働環境をまだまだ整えていく必要はありますね。

 
■日本の労働環境の本質的な問題は?

女性の就労状況こそ改善してきたものの、日本の生産性(ひいては働く人の給与)のアップを考えた時、本質的な課題はまた別のところにあります。

それは男女の賃金格差です。
2017年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、女性賃金の男性賃金に対する割合は全体平均で73.3%。男女賃金格差(女性賃金が男性賃金に比べて何%低いか)でいうと、26.7%です。

年齢ごとの差をみると、20歳代の頃は男女で給与の差はそれほどないのですが、年齢が上がっていくにつれてどんどん差が開いていきます。男性は年齢が上がるにつれて給与が上がっていくのに対して、女性の給与の上がり方が少ないのです。ピークは50~54歳で賃金格差(女性賃金/男性賃金)は37%まで開きます。

この男女の賃金格差を国際比較でみてみると日本の課題が浮き彫りになります。
OECD諸国の男女賃金格差(2007~2012年の平均)の割合をみると、日本は、28.9%です。これはワースト3位です。
上位国をみると、トップはハンガリー:5.7%。次いで、ルクセンブルグ:6.5%、ニュージーランド:6.6%、ポーランド:7.2%と続きます。このあたりの国では女性の賃金は男性と1割も違わないのです。大国のドイツでも17.0%、アメリカで19.2%です。いかに日本の女性の賃金が男性に比べて低いかがわかります。

日本は欧米に比べて労働生産性が悪いと言われていますが、実は男性は欧米先進国とそれほど差があるわけではありません。日本で生産性が低いのは女性なのです。女性の平均給与は低いまま上がっていかないのです。

日本は女性の労働力をもっと活かさないといけません。就労率が上がってM字カーブが解消に向かっていることは、それはそれで良いことではありますが、それで終わりではなく、次はもっと生産性を上げないといけません。

「女性の働きが足りない、もっと働け!」と言いたいわけではありません。女性の賃金が年齢とともに上がっていかないのは、女性側というより、おそらく日本企業そのものというか、経営者側の問題が大きいのではないかと思っています。

そもそも、女性に任されている仕事そのものが昔から生産性の低いものが多いのです。
私は昔、銀行に勤めていましたが、女性は窓口とか事務補助業務が中心。稼ぐことが出来る渉外とか融資、企画業務はほぼ男性です。会社側としては(もしかしたら女性側も)、「渉外業務などの仕事は長時間労働になるので家庭を持っている女性には出来ない」とか「どうせ結婚したら辞めるのだからキャリアを積むのに時間がかかるような業務は女性には向かない」といった意識があったのだと思います。
そもそも、男性と女性は同一労働にはならない環境が日本の企業にはあります。
これが問題の本質だと思います。

でも、これからはもう違うのです。
労働力が減っていく中、誰もが生産性高く働かないといけないのです。男性も女性も長時間労働はもうしません。限られた時間で成果の上がる仕事に集中します。働き方も多様化して、事務所に行かなくても、在宅でもどこでも働けるような働き方を整えていきます。そして、途中で辞めることなく長期間働くのです。人生100年時代ですからね。誰もがスキルアップを重視して、キャリアを積んでいくような働き方になる。そういう時代になっていきます。

この20年くらいで銀行では窓口業務や単純な集計業務などの女性行員が担っていた仕事はほぼ自動化されました。女性行員はずいぶん減りました。
これから先、ますます単純な作業は無くなっていきます。そういう時代なのです。経営者も、男性も女性も仕事に対する考え方を変えないといけないのです。

 
■意識を変えないといけないのは経営サイド

少子高齢化の今の日本では、もはやこの先の社会保障を少ない現役の男性だけでまかなうのは限界でしょう。誰もが生産性の高い仕事に集中して、在宅勤務や副業など多様な働き方が出来るようになれば、育児や介護などで働けていない人たちの力だってもっと活かせます。

女性サイドにはやる気があるようです。
前出の厚生労働省調査で、「女性労働者が今の会社で働き続ける上で必要なこととしてどのようなことを考えているか」という問いで一番多かったのは、
「やりがいが感じられる仕事の内容」 25~29 歳:47.8%、40~44 歳:58.6%
です。

今の収入水準であっても女性が大学を出てから65歳まで正社員として働くと、途中で産休・育休、時短勤務などの期間があったとしても生涯所得は1.5億円くらいにはなります。専業主婦として子育てと家事をすることももちろん価値はあります。ただ、経済的には国としても家計としても女性に稼いでもらった方が消費は増えるし、豊かになります。

おそらく変わらないといけないのは経営者サイドです。
「女性だから単純な仕事でいい」という意識はないでしょうか。
「男性だから長時間労働させてもいい」という意識はないでしょうか。

働き手の数が減っていく中、人材確保はこれからますます重要になる経営課題です。男性にも女性にも、労働環境を整えてやりがいのある仕事を与え、労働時間ではなく成果にフォーカスして評価をする、そういう会社しか働き手に選んでもらえなくなります。
経営者こそが意識を変えて、もっと働く環境を整備しないといけませんね。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

 
【編集後記】 「私は経営サイド」
 
わが社は女性の比率が半分です。子育てをしながら働いてくれている社員も何人もいます。すごいな、大変だろうなと、心から敬服しています。一方で、土日もなく長時間働いてくれている男性社員もいます。すべての社員にとって働きやすく、成長が出来、やり甲斐を感じられるような環境を提供したいとは思っていますが・・・、変わらないといけないのは経営サイドですね。