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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第288号『裁量労働制は私たちの働き方をどう変えようとしているのか?』
    生産性の高い人が報われて、多様な働き方ができる社会に~
2018/03/06

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第288号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

 
■裁量労働制、またまた見送りに

「働き方改革」はご存知の通り、今国会最大の目玉法案です。その中核的位置付けにあった「裁量労働制の対象範囲の拡大」が見送りになりました。野党にとっては「してやったり」でしょうし、安倍政権にとっては痛いでしょうね。

<裁量労働今国会は断念 ~政府・与党、働き方法案から分離 生産性向上遅れる恐れ~>
(2018年3月1日付 日本経済新聞)
『政府・与党は28日、今国会に提出する働き方改革関連法案に盛り込む内容について、裁量労働制の拡大に関する部分を切り離す方針を決めた。裁量労働制に関する法案は今国会への提出を断念する。裁量労働制を巡る不適切データ問題への批判が強まる中で、世論の理解が得られないと判断した。働き方改革を通じた生産性向上が遅れる恐れがある。』

裁量労働制とは、厳密な時間管理になじまない業務につく人のための制度ですね。あらかじめ決めた時間を働いたものとみなして給与を支払います。早く終わっても決められた給与がもらえます。一方、残業しても残業代はつきません。業務の進め方を従業員の裁量にまかせることでその従業員がより能力や成果を発揮できるようにしようというのが狙いです。

これまで裁量労働制は、編集者やシステムエンジニア、デザイナーなどの「専門型」と本社企画部などに勤務する「企画型」の2種類が対象となっていましたが、これを営業職などにまで拡大しようとするのが今回の法案でした。

この裁量労働制ですが、世間の評判はとても悪いんですね。
「裁量労働制はサービス残業を助長する」とか、「これはブラック企業のための制度だ」といった主張があふれています。一部夕刊紙などでは「過労死法案」などと書かれていますね。

さて、この裁量労働制、私たちはどのように考えたらいいのでしょうね?

 
■裁量労働制の目的は「脱時間給」なのに

今回の働き方改革関連法案は、「裁量労働制の適用業務の範囲拡大」といった「規制緩和」のものと、「残業時間は年720時間(←違反したら罰則付き)」「勤務のインターバル制度導入」といった長時間労働を是正するための「規制強化」の両軸があります。

裁量労働制で働き方を働き手に任せるとともに、それが長時間労働につながらないような規制もつける、というのがポイントです。今回の裁量労働制法案を見送ることで、規制緩和の方はなしにして、規制強化だけやるということになりますね。

この裁量労働制の考え方は「脱時間給」です。社員の評価の尺度を労働時間の短い長いではなく、「成果の大きさ」にするということです。
長時間働いても給与は変わらないのだから、さっさとアウトプットを出せるようにスキルを上げていきましょう、ということですね。

今回この法案を断念することになったきっかけは、首相が答弁した「裁量労働制で働く人の方が労働時間は短い」というデータの根拠がデタラメだったことでした。ここを野党が追及して法案提出を断念させたわけです。

そもそも、「「脱時間給だ」、「労働時間ではなく成果だ」と言っているのに、裁量労働制の方が時間がどうだとか労働時間のことを言おうとしたことが大きな間違いでしたね。
裁量労働制で働いているような人たちは仕事が「速い」かもしれませんが、「早く」仕事を終えるどうかもその人次第ですからね。速く仕事を回して、いっぱいアウトプットを出してもっと給与を上げたいと考えるかもしれません。
裁量労働制は、労働時間を短くするためのものではなくて、日本のビジネス環境では生産性高く仕事をすることを当たり前にしていこう、というのが目的だと思うのですがね。

労働時間調査をやり直すらしいですがご苦労なことです。あまり意味がないでしょうね。

 
■裁量労働制を運用するための大前提とは?

裁量労働制の導入によって、サービス残業が増えたり、過労死が増加したりするようなことは当然許されることではありません。残業ばかりを強いるようなブラック企業と言われるような企業には働き手が来なくなるだけだとは思いますが、ここは残業規制を厳格に運用しなければなりません。

しかし、長時間会社にいれば多くお金がもらえて、早く帰るとお金があまりもらえない、というのもいかがなものかと思います。これからは勤務場所を選ばないテレワークとか、介護や子育てのために時短で勤務したいといった働き方の多様化に対応しなければならないからです。

ただ、裁量労働制を適切に運用するためにひとつ大事なことがあります。それは企業側にちゃんと成果で評価するルール・仕組みがあることです。
仕事の成果をどのように定義づけをして、それをどう測って評価するか、そしてどう給与に反映させるか、ということです。これが裁量労働制の大前提になりますが、実はこれ、簡単なことではありません。すべての業務が必ずしも定量的に成果を測ることができるわけではありませんからね。

ここは企業側と従業員側がよく話し合ってルールを作っていく必要がありますね。

 
■生産性の高い人が報われて、多様な働き方ができる社会に

それでも時間給がいいという人は、そういう職種に就いて、残業規制の範囲内で働けばいいとは思います。ただし、そういう仕事は(だいたい単純な仕事が多いと思われますが)、いずれロボットに取って代わられるのです。もし日本で働く人がそういう考えの人ばかりだとするとAI(人工知能)にも国際競争にも負けてしまうでしょうね。

裁量労働制は、たちまちは生産性の高い人たちのための制度と言えると思います。生産性の低い人にとっては確かに厳しい制度になるかもしれません。ただ、仕事の生産性を上げることはすべてのビジネスに関わる人が目指すべきことだと思います。生産性向上に意識を振り向けて、努力する。これは大事なことですよね。

時短社員であっても、テレワークであっても成果を出す人には高い報酬を出すというのが当たり前の社会であるべきです。時間ではなく成果に報いる仕組みを整えていて、多様な働き方ができる会社が評価されるようになるでしょう。その会社には優秀な人材も集まってくるでしょう。そういう会社は、時間給で働きたいという人ばかりがいる会社よりも当然強い会社になるでしょうね。

生産性の高い人が正当に報われて、多様な働き方ができるような会社で占められている。日本はそういう社会にならないといけないのではないかなと思います。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

 
【編集後記】 「私は裁量労働制?」
 
私は銀行からコンサルタント会社に転職して以降、もうずっと裁量労働制みたいな感じで働いてきました。成果で年棒が決まり、働く場所や時間は基本的に自由です。ただ、結果的に長時間労働でした。でもそれは私のスキルが低いからであって、「もっと生産性上げないと・・・(休めない)」と常に考えていました。私はそういう働き方を選択したわけですが、自分にとっては良かったと思っています。「働くこと」への考え方は人それぞれですが、「多様な働き方が選択できる」ということが大事なのかなと思います。