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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第249号『GPIFの5.3兆円の運用損は年金制度を揺るがすほどの話なのか?』
    ~日本の年金制度の本当の問題点とは?~
2016/08/02

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第249号

 

 

こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、

ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

 

GPIFが5.3兆円の運用損を出したことがニュースになっていました。

でも実はそれは大した問題ではありません。では本当の問題は…?

 

 

■GPIFは年金資金でバクチを打っている?

 

先日、報道番組を観ていて、「これはひどいな~」と思ったニュースがありました。

それはこれに関連したものです。

 

<公的年金、将来に不安も GPIF15年度運用損5.3兆円>

(日本経済新聞 平成28年7月30日付)

『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は29日、公的年金の2015年度の運用実績が5兆3098億円の赤字になったと発表した。

5年ぶりに運用資産額が減った。

円高や株安が響き、国内株式などの評価損が膨らんだ。』

 

GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)とは、私たちが支払っている年金保険料の余剰積立金を管理・運用している組織ですね。

運用している資産の額は27年度末時点で約134兆7千億円。

年金管理法人としては世界最大の資産額になります。

 

この巨額な資金は債券や株式などで運用されていますが、その2015年度の運用利回りがマイナス3.81%、金額にして5.3兆円を超える赤字になったというニュースです。

 

市場で運用していますからプラスの時もあればマイナスの時もあるでしょう。

昨年度は中国や新興国の景気不安などがあって日経平均もかなり動きましたので仕方がないと言えば仕方がない。

ただ、この結果が批判されているのは、2年前に政府が資産の運用構成の割合を変えたことに起因しています。

国債を60%→35%に引き下げて、国内株式と外国株式をそれぞれ12%→25%にして、合計で50%に引き上げました。

株式の割合をほぼ倍増させたわけです。

そのためGPIFの運用実績が株価変動の影響をより受けやすくなったわけですね。

 

野党は、「運用実績のマイナスはGPIFの株式投資比率を倍増させた安倍政権の責任だ」と批判していました。

番組のコメンテーターの人たちも、「私たちの大事な年金積立金をアベノミクスの株価対策に使うのはいかがなものか」というトーンの発言が相次ぎました。

最後に司会の人が、「政府がバクチを打って、そのツケを国民が払っているということですね」とまとめました。

 

ここが、私が一番「こりゃひどいな」と思ったところです。

 

 

■株式運用は世界の年金基金の常識

 

この報道は、2つの点で間違っています。

 

ひとつは、株式で運用することをバクチといっているところです。

年金資金は基本的に長期投資です。

黒字を続けている企業は企業価値が高まっているのですから、そういう企業に投資していれば長期的には株価は上がります。

 

世界的に見ても年金基金を株式中心で運用することは常識です。

ノルウェーのGPF-G(ノルウェー政府年金基金)は60%、アメリカのCalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)は61%、カナダのCPPIB(カナダ年金制度投資委員会)はなんと72%が株式で運用されています。

 

27年度は日経平均が下がってしまいましたので運用実績は5.3兆円のマイナスになりましたが、26年度は15.3兆円のプラスでした。

25年度も10.2兆円のプラスです。

そういうことを報道しないで単年度の実績だけを捉えるのは長期運用である年金基金にはふさわしくありません。

 

ましてや日本の国債は今やマイナス金利です。

今、一般の投資家でも「財産は日本の国債で運用すべき」という人はおそらくいないと思いますけどね。

 

 

■GPIFが年金支払いを賄っているわけではない

 

もうひとつの間違いは、GPIFの運用結果が年金制度を揺るがすかのような話になっていること。

番組では、コメンテーターのひとりが「運用でマイナスが出たから国民負担が増える」というような話しもしていましたが、これは明らかにミスリードです。

 

日本の年金制度は「積立方式」ではなく「賦課方式」です。

年金受給者の人たちは自分たちが支払って積み立ててきたお金を受け取っているのではなく、今の現役世代が毎月支払っている年金保険料を受け取っています。

 

厚生労働省の「平成26年度 公的年金各制度の財政状況」によると、平成26年度の厚生年金と国民年金の実質的な収支の合計は、支出(年金支払い)が50.5兆円、収入(保険料+国庫負担)が47.8兆円。

差し引き2.7兆円のマイナスです。

このマイナス部分はGPIFの基金を取り崩してまかなっています。

 

年金の9割以上は年金保険料と国庫負担から支払われているのです。

GPIFが運用している134兆円もの資産はこれまでに国民が納めてきた年金保険料のうち、年金給付に回されずに余った分を積み立てたものです。

これまでは、年金を受け取る人よりも支払う人の方が多かったから積立金が増えてきました。

それが近年は支払う人が減って受け取る人が増えてきたので収支がマイナスになって、GPIFが取り崩されることになっているわけですね。

 

つまりGPIFは年金制度の「緩衝材」みたいなものでGPIFの運用資産の減少がすぐに年金給付の減額とか国民負担の増加につながるものではないのです。

 

 

■年金の本当の問題点とは?

 

問題は、GPIFの投資比率がどうとか、運用実績がどうとかいう話ではありません。

今の年金制度の持続性の方がよっぽど大きな問題です。

 

今の少子化と高齢化が同時に進行している日本で、「国民の将来の安心」を担保することができるのか、ということです。

 

日本の人口構成をみれば、今後も税や年金の担い手が減り、受け手が増えていくのは明らかです。

今の少子化対策の効果が出たとしても年金制度や社会保険制度が安定するのは20年以上先の話しです。年金も医療も、現状程度の負担の水準で現状程度の給付は受けられないでしょう。

 

「年金保険料を上げる」、「年金受取額を減らす」、「支給開始年齢を遅らせる」。

今、既に実施中ではありますが、これらのことを同時に実施していかないと今の年金制度は持続出来ないでしょう。

私たちが知りたいのは、「それはどの程度の水準になりそうか」ということです。

そこがはっきりしないから、「今の生活が厳しくなるのではないか」とか「将来、年金は受け取れないのではないか」などと不安になるのです。

 

はっきりさせてくれれば、何かしら備えることも出来ますからね。

あとマスコミは、情報は印象とか思い込みではなく正しいことを伝えてもらいたいですね。

 

今回は以上です。

次回もお楽しみに。

 

 

【編集後記】 「今年の夏は」
 
関東も梅雨明けしていよいよ全国的に夏本番ですね。

連日の猛暑日でぐったりしている人も多いかもしれません。

さて、今年の夏はいつもの高校野球に加えて、なんとオリンピックまで始まりますね。

私はもうすでにそわそわしています。

こりゃ今年の夏は仕事どころじゃないですね!(・・・って嘘です。真面目に働きます。)