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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第244号『住宅取引の常識が変わる?インスペクションの説明義務化へ』
    ~宅建業者だけでなく新築の住宅会社の販売戦略にも影響が?~
2016/05/24

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第244号

 

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

 

今回は「建物検査(インスペクション)」についてです。
中古住宅を売る時、買う時の常識が変わるかもしれません。

 

■インスペクションで中古住宅購入の常識が変わる?

 

中古住宅を売却したり、購入したりするときの常識が変わるかもしれません。
中古住宅を売却する際の「建物現況検査(インスペクション)」が義務化の方向に向かっていることについては一年ほど前にも書きました。

ハッピーリッチ・アカデミー第220号 (2015年6月23日付)
『中古住宅の診断、義務化へ』
~住宅診断は日本の住宅ストックの流通を促進するか?~

 

その流れの中で、既存住宅のインスペクションに関して宅建業法が改正されることが今年の2月に閣議決定されました。
すべての既存住宅を検査する「完全義務化」というわけではありませんが、住宅の維持管理についての世間の関心は間違いなく高まっていくでしょうし、住宅取引の常識が変わっていくことになるのではないかと思います。

 

義務化付けの内容は以下の通りです。

<「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」を閣議決定>

(平成28年2月26日 国土交通省発表資料より)

『既存の建物の取引における情報提供の充実 宅地建物取引業者に対し、以下の事項を義務付けることとします。

  1.   媒介契約の締結時に建物状況調査(いわゆるインスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付
  2.   買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明
  3.  売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付』

 

つまり、宅建業者は、

  1. 媒介契約時には売主さんに対して、「インスペクションやりますか?」と案内しなければいけません。
  2. 重要事項説明の時には、今度は買主さんに対して、インスペクションの詳細について説明しなければいけません。
  3. 売買契約時には、売主と買主の双方に建物の現状に関する書面を出さないといけません。

 

宅建業者は、説明しなくてはならないわけですからインスペクションのことや建物についてよく勉強しなくてはなりませんね。

 

 

■インスペクションの目的は?

 

インスペクションが義務化に向かう目的は、「既存中古住宅の流通活性化」です。
日本で中古住宅の売買件数がなかなか増えない要因のひとつは、「購入検討者が住宅の質を確認しづらいこと」です。

 

中古住宅を買う人は不安でいっぱいです。
「この家の耐震性や耐久性は大丈夫か」
「これまでどこを修繕してきたのか」
「今後、どこが、いつ頃に修繕が必要になりそうか、どれくらいお金がかかるのか」
「そもそもこの建物はあと何年くらいもつのか」

 

新築が、立地的にも予算的にも無理だから中古を買う、という人が多い中、中古を買ったらすぐに大規模な修繕が必要になって多額のお金がかかってしまった、となったら泣くに泣けません。

 

今回の改正でインスペクションが一般化すれば、購入者は今よりもはるかに安心して家を買うことが出来るようになるでしょう。
購入後に大規模なリフォームをする場合でも、建築確認の検査済証や設計図書があれば、どの壁なら壊していいか、などがわかります。検査済証があると銀行からのローンも借りやすくなるかもしれません。

 

将来的には、建物に関する情報がある物件とない物件では取引価格が変わってくるかもしれませんね。

 

 

■住宅会社の常識も変わる?

 

今回の改正は、不動産仲介の現場だけでなく、新築を提供する住宅会社や工務店の販売現場の風景をも変えるかもしれません。

 

住宅会社は、自社で建ててくれたお客様に、将来のインスペクションについて説明するとともに、設計図書や建築確認検査済証、構計算書など建物に関する情報を「将来必要になりますから」と確実にお渡ししないといけません。さらに、お客様にかわってそれらのデータを保存してあげることも必須になるでしょう。

ある日、不動産仲介会社が、「おたくで建築された○○様がお家を売却されることになりました。ついては設計図書や修繕履歴はありませんか?」とやって来た時に「何もない」という話になると、会社の評判を落とすことにもなりかねません。場合によってはお客様からクレームをいただくことになるかもしれません。

 

設計図書などのデータを「家歴」としてお客様にかわって長期間保存しておくことをサービスでやっている住宅会社は増えていますが、インスペクションに関していうと、家歴は建てた時点での設計情報だけでなく、その後の修繕情報があることが重要です。

つまり、継続的なメンテナンスサービスなどのいわゆる「アフターメンテナンス」の実施体制が今以上に必須になります。

 

アフターメンテナンスが出来る会社は、出来ない会社との差別化ポイントとして「アフターサービス」をより強く言うようになるでしょう。

「当社には修繕・営繕の仕組みがあります。設計図書や修繕履歴は保存します。24時間対応もします。」などなど。

 

家のメンテナンス情報が資産価値を決めるという時代が来るのですから、住宅会社としてアフターメンテナンスの総合的なプログラムは不可欠です。「アフターのプログラムはない」というような会社は「売って終わりの会社」と認識され、必然的にお客様に選ばれなくなってしまうでしょうね。

 

 

■家は家族の命の財産を守るもの

 

今回の法改正はおそらく2年後くらいからの施行になると思いますが、それまでに宅建業者や住宅会社はよく勉強しておかないといけません。負担は増えますが、これはお客様にとっても業界にとっても良いことだと思います。

 

これまで、どんな性能の家を建てても、また建てた後全くメンテナンスをしていなくても、築年数と広さと立地で価格が決まっていました。それが建物の性能やメンテナンス状態といった「質」が価格に反映するようになるかもしれないのです。

 

結果的に日本に質の良い家が増えることになるでしょう。
家は家族の命と財産を守るものです。
誰もが安心して安全な家に住むことが出来ることは当然のことですよね。
日本の住宅の質と取引環境が今後ますます良くなっていくことを願っています。

 

今回は以上です。

次回もお楽しみに。

 

 

【編集後記】 「銀行でハンコが不要に」
 
りそな銀行が「口座開設時など、取引の際にハンコを不要にする」という発表をしましたね。指の静脈などの生体認証で本人確認をするそうです。これ技術的にはもっと早く出来たと思うのですが、日本のハンコ文化を打ち破ることがなかなか出来なかったのでしょうね。銀行取引時にハンコ不要なんて世界では当たり前のことですからね。りそな銀行の英断には拍手です。(さすが、私の出身銀行)