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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第242号『熊本地震、二重ローン問題を回避する制度があります』
    ~「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」とは?~
2016/04/26

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第242号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

熊本地震で被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。

私の会社の住宅相談のお店が熊本に2店舗あります。店舗の被害は幸い軽微なものでしたので、24日から営業を再開しました。早速多くの方々が住宅の相談にお越しになられました。

今回は被災住宅に関する制度についてです。
 

■生活基盤の再建はまず「住宅」から

 

昨日、熊本地震が激甚災害に指定されました。

 

<熊本地震を激甚指定>

(平成28年4月25日付 日本経済新聞)

『政府は25日の持ち回り閣議で、熊本県中心に相次いだ地震を激甚災害に指定すると決定した。自治体が実施する復旧事業などへの国の補助率をかさ上げする。26日に施行する。』

 

これは国を挙げて熊本の復興、生活再建に力を入れるということを意味します。国の予算がつき、これから具体的な支援策が出てくると思います。その規模はトータルで「6千億円前後になる」という報道もあります。

 

住宅が損壊し、今も避難生活を送っておられる方々は、「今はまだ先のことは何も考えられない」という方が多いと思います。まず今は生活基盤を取り戻すことが優先です。

基盤の第一は「住居」です。

当面の住宅の確保については、安倍首相は「全体で9,000戸の公営住宅などを確保し、仮設住宅も3,000戸分の資材を確保している。」と述べました。

 

■「二重ローン問題」とは?

 

住宅の建て替えや修繕などに関する支援に関しては今後続々と具体的な施策が出てくると思います。中でも特に問題になるのは「まだ住宅ローンが残っている住宅が住めなくなってしまった」時だと思います。

 

地震で住宅が全壊してしまっても住宅ローンは残っています。被災した方々は、住めなくなった住宅のローンを支払い続けながら仮設住宅に住んだり、新しい住宅を建てるために新たな住宅ローンを組んだりしないといけません。

 

「建て替えるにも時間がかかる。仮設住宅にいてもローンの返済は止められないの?」

「今のローンを返済しながらまた新たにローンを組めるのか?返済はどうしたらいいのか?」

 

この住宅に関する二重の負担のことを「二重ローン問題」と言います。

阪神淡路大震災や東日本大震災の時にもクローズアップされ、社会問題化しました。

 

この二重ローンの問題に関して、実はこの4月から新しい制度が始まっています。「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と言いまして、全国銀行協会が中心となってまとめています。時間のかかる法的な破産や倒産の手続きを必要とせず迅速に債務整理をする枠組みになります。

 

今回の熊本地震がこの新しい制度で被災者を救済する初めてのケースになりそうです。

 

■被災者の債務整理のガイドラインとは?

 

熊本地震で被災された方々の手続きについてはまた詳しく発表されるかもしれませんが、まずは今現在で定まっている手続きについて全国銀行協会HPの内容を抜粋・要約して記載します。

 

「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続きについて

※より詳しくは、全国銀行協会のホームページにてご確認ください。

http://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-i/8815/

 

「債務整理のための手続の流れ」

 

(1)手続着手の申出

「まずローンを借りている金融機関等へガイドラインの手続着手を希望することを申し出ます。金融機関等から借入先、借入残高、年収、資産(預金など)の状況などをお聞きしますので、お手元に借入れの状況などの資料をご用意ください。必要な事項をお聞きし終えた日をもって、手続着手の申出日になります。」

(2)専門家による手続支援を依頼

「要件が確認されて対象となると判断されたら、手続きが始まります。次は弁護士など「登録された専門家」(以下「専門家」)に支援を依頼します。具体的には、地元弁護士会などを通じて「専門家」手配を依頼します。

(3)債務整理(開始)の申出

金融機関等に債務整理を申し出て、申出書のほか財産目録などの必要書類を提出します。書類作成が難しい場合には紹介された「専門家」の支援を受けることができます。債務整理の申出後は、債務の返済や督促は一時停止となります。

(4)「調停条項案」の作成

「専門家」の支援を受けながら、金融機関等と債務整理の内容を協議して、その内容を盛り込んだ「調停条項案」の書類を作成します。

(5)「調停条項案」の提出・説明

「専門家」を経由して、金融機関等へガイドラインに適合する「調停条項案」を提出・説明します。金融機関等は1ヵ月以内に同意するか否か回答します。

(6)特定調停の申立

すべての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます。

(7)調停条項の確定

特定調停手続により調停条項が確定すれば債務整理成立です。

 

「調停」なんて単語が出てくるとわからなくなってしまうかもしれませんが、詳しい手続きは弁護士さんなどの「専門家」がサポートしてくれます。まずは銀行へ行って相談することからです。その際にはおそらく「罹災証明」も必要になると思います。まずは、今の返済を止めてもらう(3)の段階まではスムーズに行きたいところです。

 

■まずは広い認知と理解を

 

この自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインの原型は東日本大震災の時、2011年8月に日本弁護士連合会と全国銀行協会により出来ました。

通常だと債務整理をすると信用情報に登録されて新しい借入が出来なくなりますが、このガイドラインに則った手続きでは登録されません。過去の債務を整理して、スムーズに新しいローンを組むことができます。

さらに、被災者用の優遇金利や生活再建支援金などを受けることで比較的負担なく、生活基盤の再建に取り組むことができるというとても大きなメリットを持つ制度でした。

 

しかし、現実的にはあまり活用されませんでした。東日本大震災では被災した3県でおよそ12万戸以上が全壊しましたが、このガイドラインを活用した件数は1,500件くらいだったと言われています。

課題とされたのは、制度の制定が震災5カ月後と遅かったことと、制度が出来た後も認知が広がらなかったことがあげられています。

 

今回の全国銀行協会のガイドラインははじめての適用になりますし、なにしろ元が複雑な「私的整理」なので運用には多少の混乱はあるかもしれません。

でも、すでに制度はあります。私は熊本で住宅の仕事に関わる者として、まずこの制度やこれから出てくるであろう住宅支援施策を広く被災された皆さんにお伝えしたいと思っています。また難しいと思われる手続きについては出来る範囲でお手伝いしたいとも思っています。

 

今回は以上です。

熊本地震の被災地に1日でも早く落ち着いた日々が戻ることを心から願っています。

 

【編集後記】 「がまだせ!熊本」

昨日まで熊本にいました。熊本の皆さんは力強く日々復興に向けて日常を取り戻しつつあります。私の会社(株式会社ans)の店舗のスタッフも全員被災者ですが、日常に戻ろうと仕事に出てきてくれています。生活再建の基盤は「住居」と「仕事」だと思います。その「住宅」に関して少しでも情報提供が出来るように努めます。頑張ろう!熊本。