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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第240号『マイナス金利は続く。資本主義は終わったのか?』
     ~閉塞感を打ち破るイノベーションを!~
2016/03/29

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第240号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

マイナス金利が続いています。今の状況をどのように捉えたらいいのでしょうか。

■マイナス金利が続く時代

 

マイナス金利が続いていますね。
先週、10年物国債金利が過去最低のマイナス0.135%をつけました。

日銀がマイナス金利にしているのは、民間銀行が日銀に置いている当座預金の今後の「積み増し分」に対してのみです。日銀にお金を遊ばせておくと銀行は損をするので、より企業への貸し出しなどに回してもらうことが狙いでしたね。

これが市場金利にも影響が及び、国債金利やローン金利などが低下しています。金利が低くなれば通貨としての魅力も相対的に落ちるので円安の方向になるし、引いてはインフレにも振れることが期待されています。

 

しかし、まだ効果はそれほど出ていません。銀行貸出は増えてはいるものの微々たるものですし、インフレにもなっていません。先行して実施しているスイスやドイツ、フランスなどのEU各国ではもう2年ほどマイナス金利の状態が続いています。

 

マイナス金利という、いわば経済的には異常な事態がずっと続いているこの状況を私たちはどのように考えたらいいのでしょうか?

 

■資本主義の終わり?

 

今ほどの世界的な経済停滞ははじめての事態です。

これを『資本主義の終焉』といったのは、日本大学の水野和夫教授です。これは経済循環による停滞ではなく、大きなパラダイムシフトであり、それは資本主義が終わりを迎えつつあるということだと、一昨年にベストセラーになった著書『資本主義の終焉と歴史の危機』で言っています。

 

「金利はすなわち、資本利潤率とほぼ同じだと言える。利潤率が極端に低いということは、すでに資本主義が資本主義として機能していない証拠だ」と。

 

そもそも金利がなぜ発生するかというと、お金を借りてそれで商売をすれば儲かる事業機会があるからですね。

 

例えば、確実に5%の利回りが出る事業があったとします。その事業に1億円を投資すれば、500万円儲かるわけです。自己資金で1億円を投資したら儲けは500万円ですが、1億円を担保にして10億円を銀行から金利2%で借りたとします。10億円投資して5%の事業利回りですから5,000万円儲かります。借入金2%の利息2,000万円を銀行に支払っても、差し引き3,000万円が収益として手元に残ります。

 

これを借入による『レバレッジ(てこ)効果』といいます。

1億円に10倍のレバレッジを効かせるわけですね。このレバレッジ効果が有効に作用するのは投資する事業の利回りが借入金利よりも高い時です。こういう時には皆がお金を借りて収益機会を獲得しようとします。逆に、事業利回りに確実性がない時には借入利息どころか元本も返せなくなるリスクがありますから、いくら金利が低くても誰も借りません。

 

だから、金利が高い状態とは、世の中全体の事業がうまくいっている時、つまり景気が良い時です。逆に金利が低い状態とは、世の中の事業の不確実性が高く、うまくいっていない時、すなわち景気が悪いということになります。

 

今はこの金利がゼロ~マイナスなわけです。世界中で儲けがほとんどない、商売が成り立たなくなっています。投資もしないし、レバレッジもかけません。「資本を集めて事業に投資して利潤を上げる」という資本主義が成立していない今の状況がおそらくこの先も続くだろう、ということを水野教授は言っているわけです。

 

■原因は「総需要の不足」

 

「モノ」が不足していた時代、資本を使って、原材料を仕入れ、工場で加工して、製品にして販売します。「モノ」が売れると企業に利益が残り、それを資本としてさらに再投資を続けていって資本を増やしていきます。企業も国もこうして豊かになりました。豊かになった先進国は、「モノ」がない後進国にも販売していきます。しかし今、世界中に本当に必要な「モノ」はほぼ行き渡ってしまったのか、「買い手」がどこにもいなくなってしまいました。「もう成長しないんじゃないか?」とか、「もう成長しなくてもいいんじゃないか?」というムードになっています。「モノ」が売れない以上、これ以上拡大し続けることにリスクを感じている人や企業が増えてきているのが今の状況です。

 

マイナス金利の原因は、『総需要の不足』だと米コロンビア大学のスティグリッツ教授は先週の国際金融経済分析会合で発言しています。『総需要が弱いから成長期待が高まらない。有望な投資機会も生まれにくい。資本は国債市場などへ流れて、金利は下がり続ける。』ということです。

 

特に日本は経済の停滞が長く続き、企業も個人もずっとガマンしてきました。欲しいものもガマンして、できるだけお金を使わずに暮らしていますし、企業も投資を抑えて借金の返済に回してきました。常にお金を手元に置いて備えてきました。日本はそこに高齢化社会の到来が拍車をかけていて、皆が老後に備えています。いつしかこういう「ガマンしている状況」に皆が慣れてしまって、むしろそれが当たり前になってきているかもしれません。国民が皆同じようにこうした行動を取っているのですから当然需要は盛り上がりませんよね。

 

企業も、おカネを借りて設備投資してもそこで作ったモノを買ってくれる人がいない。だからひたすらため込んできて、今や企業の内部留保は莫大なものになっています。

 

■消費は「モノ」から「コト」へ

 

水野教授は、「より速く、より遠くへ、より合理的に」という資本主義の理念を逆回転させて、「よりゆっくり、より近くへ、よりあいまいに」という理念のもと、「ゼロ金利、ゼロ成長の下で豊かさを意識できる社会に転換すべきだ」と述べています。

 

しかし、本当にもう成長できないのでしょうか?

「ゼロ成長でいい」となったら企業はこれ以上儲からなくなるし、そこで働く社員の給料も上がりません。これから世の中に出ていく若い人たちはそんな社会には夢を見出せないでしょう。私は資本主義にかわる社会がイメージできないのでこのような発想しか出来ません。

 

どんな時代でも行き詰まった閉塞感を打ち破るようなイノベーションが社会を活性化させてきました。モノが売れないと製造業は厳しいかもしれませんが、より安心でより便利な「モノ」はまだまだ開発できるでしょう。さらに、快適さや感動を提供するようなサービス業にはまだまだ大きな成長の可能性があると思います。

 

日本経済新聞の記事によると、

『耐久財消費は14年1~3月期に55兆円だったが、15年10~12月期は40兆円にとどまる。一方、15年の旅行や外食などサービス消費は171兆円と過去最高で増税後も堅調だ。』(2016年3月28日付)

 

消費者は決して節約一辺倒ではないのです。

消費は、「モノ」から「コト」へとシフトしつつあるようです。「モノ」は行き渡ったかもしれませんが、人々の暮らしは終わりません。より安心に、より快適に、より便利に暮らしたいという気持ちは変わりませんよね。

 

今はゼロ成長で雌伏の時かもしれませんが、新しいイノベーションの種はそこかしこに芽吹きつつあるのではないかと期待しています。そして経済成長はきっとできる、と。

 

今回は以上です。

次回もお楽しみに!

 

【編集後記】 「ポスト資本主義は?」

水野教授の『資本主義の終焉と歴史の危機』はもう2年前の本ですが、様々なことを考えさせてくれる素晴らしい本です。でも、「ではポスト資本主義は?」となると、ここははっきりしませんし、私の頭では想像することすらできません。ただ、まだまだ経済成長は出来る!ということだけははっきりとそう思います。そう思わないと、やってられないですよねぇ…。