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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第239号『労働市場改革から見えてくる日本の今とこれから』
     ~どうなる消費増税?政府がとるべき政策とは?~
2016/03/15

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第239号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

政府が労働市場改革を推し進めようとしています。
さて、これからの政策はどう動くのでしょうか?

 
■労働市場改革は進むか?
 

政府が労働市場の改革に向けて動き出しています。
その意義について私なりに考えてみたいと思います。

<労働市場改革へ首相指示>
(平成28年3月12日付 日本経済新聞)
『政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は11日、人手不足が深刻な労働市場について議論した。首相は「外国人材の活用をしっかりと進めてほしい」と表明し、女性の就労意欲を阻む要因と指摘される「130万円の壁」の解消に関しても追加策の検討を指示した。働き手全体の所得を底上げし、経済の好循環の実現を急ぐ。』

検討されている案は次の通りです。
・建設業などに外国人材の受け入れを拡大。
・女性の労働に制限を加えている「130万円の壁」を解消する。
・高齢者が仕事をしても年金が減りにくい仕組みをつくる。
・会社員が副業しやすいような指針を整備する。
 
などなど、要するに日本全体の労働力をもっと拡大しましょう、という議論です。
外国人はひいては移民受け入れの問題になるし、女性の「130万円の壁」を解消しようと思ったら配偶者税額控除を廃止するかどうかという話になります。いずれも色々とハードルがあって一筋縄ではいかなそうですが、それでも「労働力をもっと増やさねばならない」と政府が考えている理由は何なのでしょうか?

 
■日本の労働市場の現状は?
 

今、日本の労働市場は素晴らしい状況にあります。総務省統計局の労働力調査によると、失業率はほぼ「完全雇用」と言える3%台前半。有効求人倍率は、2014年から求職よりも求人の方が多い1倍を超えていて、2016年1月時点ではなんと1.36倍。もうずっと人手不足の状況が続いています。特に農業や建設業、製造業、保育、介護などの現場で人手不足の問題が深刻のようです。
 
景気を良くする目的のひとつが「失業を減らすこと」であることを考えると、日本はもう十分景気が良いとも言えます。
 
これだけ労働市場が改善している要因のひとつは、「生産年齢人口が減っていること」ですね。15歳から65歳までの生産年齢人口は、2015年末時点で約7,900万人。2012~2015年の3年間だけでも335万人も減りました。この10年でおよそ800万人以上減っています。今、日本は純粋に働く人が減っているのです。

この状況を海外からはどう見られているでしょうか。今年の1月、イギリス、フィナンシャル・タイムズ紙にこんな論説記事が掲載されていました。

『日本の経済成長率は悪いが、労働力が減っていることを考慮すれば、それほどではない。労働者1人当たりGDPの成長率は2000~10年の年率1.5%から10~15年の年率2%に上昇している。どちらの数字も高所得国の最上位にある主要7カ国(G7)中の最高だ。労働者1人当たりGDPで日本が1.5%前後を超える年間成長率を持続するだけでも並々ならぬことだ。』(英フィナンシャル・タイムズ紙チーフ・エコノミクス・コメンテイター マーティン・ウルフ氏)

経済のパイ自体は大きくなっていないものの、働く人が減っているので「一人当たりのGDP成長率」、つまり「生産性の伸び率」で考えると先進国トップクラス、という話です。

しかし、記事はこのように続きます。

『それでもなお、大規模な移民受け入れなしでは年間成長率は1%にとどまり、思い描いている2%を大きく下回ることになる。日本銀行によると、現在の潜在成長率は0.5%にすぎない。』

潜在成長力が足りない、つまりキャパがないわけです。働き手がいないのでこれ以上仕事を増やせない。だから成長しない。もう外国人でも高齢者でも受け入れよ、と言っています。
移民の受け入れは他にも色々な問題があるので横においたとしても、労働力が不足しているのはその通りです。
 
今の日本の就労人口は約64300万人。人口のおよそ半数の人しか働いていません。高齢化などで働いている人がどんどん減っていき、働いていない人がどんどん増えていく。半分の働いていない人の社会保険を半分の働いている人だけで賄うには限界があるわけです。だから、働いていない人にもっと働いてもらおう。外国人にも来てもらって日本経済のキャパを増やそう、というのが政府の考えていることだと思います。

 
■真の問題は、労働力不足ではなく、需要が弱いこと
 

ただ、それで仮に労働力が補完されたとしても、今のように消費が進まない状況が続くのは問題です。消費が進まないと、結局モノやサービスが動かないわけですから企業が収益を上げられないということになります。供給力を増やしても、需要が高まらないと需給のギャップ、いわゆるデフレギャップが大きくなるだけになります。つまり、またデフレに逆戻りしてしまうということですね。
 
つまり、より深刻な問題は労働力不足よりも需要が弱いことです。
個人も企業もお金を使わなさすぎるのです。日本の個人金融資産は約1,500兆円。今も着々と増え続けています。消費や投資よりも貯蓄が超過している状態がずっと続いているのです。
人口減少国だからしょうがないのですが、個人最大の支出である住宅への投資も年々減っています。この先もっと減ることでしょう。企業部門の貯蓄超過額がさらに大きいのはご存知の通りです。

 
■どうする消費増税?政府がとるべき需要喚起策は?
 

だから政府は労働市場の改革もやりますが、需要喚起施策にも取り組んでいるわけです。
経済界に対して「賃金を上げろ」、「投資をしろ」とずっと言い続けています。しかし、もっと消費や投資を促すような政策を本腰入れてやっても良いのではないかと思います。
 
例えば税制。
今年の税制改正の目玉である法人税引き下げは日本企業の国際競争力拡大のために良いとしても、その結果として生まれる余剰資金が過剰に内部留保として積み上げられてしまうのが現状です。需要喚起のためにはこれを賃金アップや投資として外に出すのが大事なのですから、一律に減税するのではなくて、(今も多少はやっていますが)賃金を増やした分や新規設備投資分を減税の対象にする、といったことをより一層拡充したら良いのでは、と思います。
あと、個人消費を増やしたいのであれば、逆に消費を冷やす恐れのある消費税の増税はやはり見送るべきなのかもしれません。やるべきことの真逆ですからね。
 
ただ、安倍首相は、消費税増税は「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施する」と言っています。
 
財政再建、財源確保ももちろん大事です。しかし本格的に需要が増えていない今は景気回復の方が優先度は高いように思います。さてさて、来年4月に予定されている消費税、どうなるのでしょうかね。
 
今回は以上です。
次回もお楽しみに!
 
 
【編集後記】 「中東情勢は難しい」
 
私は歴史が好きなのですが、最近は中東のことをより深く理解したいと思ってイスラム関連の歴史の本を何冊か読みました。お蔭で今の中東情勢がかなり整理できてきました。宗教と民族が交錯し、「敵の敵は味方」みたいなのがずっと続いていて、とにかく複雑なんですよね。ひとつわかったのは、「やはり日本人に中東のことを理解するのは難しい」ということでした…。