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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第237号『タマホーム、高価格帯市場へ進出!』
     ~タマホームは住宅業界で下から上のブランドシフトの成功事例になれるか?~
2016/02/16

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第237号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回はタマホームさんを事例に「ブランド」について考えてみたいと思います。

 
■タマホーム、高価格帯へ進出
 

ディープパープルの「Burn」の曲に乗せて、「タマホ~ム!」と叫ぶCMが印象的なタマホーム。住宅業界では年間1万棟を販売する大手企業です。そのタマホームが戦略的な転換を模索しているようです。
 

<タマホーム、中高級住宅に参入 ~高所得者層にらみ新会社~>
(平成28年2月14日付 日本経済新聞)
『低価格の注文住宅を手掛けるタマホームは中高価格住宅に参入する。子会社を通じ、建物の金額が従来の約2倍の商品を販売する。地方工務店とも提携し、供給網を広げる。同社の主力顧客は消費増税後、買い控えを続けている。再増税を控え、賃上げや資産効果などで住宅購入者が戻っている所得の高い層を取り込める体制を築き、新たな収益源に育てる。』

記事では『低価格の注文住宅を手掛ける~』とありますが、実際はだいたい30坪で1,700万円くらいが平均価格帯です。ですから、「ローコスト」というよりも「コストパフォーマンス」を売りにしている会社さんと言えます。
 

そのタマホームが高価格帯の市場に打って出るようです。価格は床面積40坪くらいの建物で3,000万円~4,000万円くらいとのこと。これまでのタマホームの建物に比べるとおよそ2倍ですね。
 

工法は、寺社などで用いられる伝統工法を応用したもので、「木の質感を感じられて、調湿性能や耐火性などにも優れる建物になる」とのことです。

 
■高価格帯市場進出の背景は?
 

タマホームさんが高価格帯市場に出る理由は既存の低・中価格帯の市場が低迷しているからですね。住宅業界は、2014年の5%から8%への消費増税の後、駆け込み需要の反動減で市場が落ち込みました。2015年には高価格帯を扱う大手ハウスメーカーの一部は業績を回復させましたが、タマホームは今でもまだ厳しい状況が続いています。1月に発表された上半期決算(16年5月期の6-11月)では売上高は492億円(前年同期比16.9%減)、営業損失は▲29.9億円(前年同期は▲18.2億 円の営業損失)となっています。
 

今後も人口減少に伴って新築住宅市場は落ち込むことが見込まれている低・中価格帯の住宅会社は事業戦略の見直しを迫られています。
 

さて、タマホームの高価格帯市場への展開はうまく行くのでしょうか?

 
■「商品」が変わる、では「集客」と「営業」は?
 

住宅事業においては次の3つのパワーのバランスが重要です。
 
・商品力 :同市場で競合する他社よりも差別化された商品があるか?
・集客力 :セグメントされたターゲット顧客層を集める力があるか?
・営業力 :ターゲット顧客層のニーズにマッチした顧客対応ができるか?
 
今回、タマホームは、高価格帯の「商品」を整えて戦う市場を「低中価格帯」から「高価格帯」へとシフトするわけです。「商品」を変えるわけですから「集客」と「営業」も変えないといけません。
 
まず「集客」です。
ターゲットとなる顧客のセグメントが「低~中所得者層」から「高所得者層」に変わります。
これまでのターゲットは、30代前半くらいのニューファミリーで世帯年収は500万円弱程度、初めて家を買ういわゆる「一次取得者層」でした。これからは世帯年収1,000万円以上の高所得者層、もしくは土地を持っているようなゆとりのあるシニアの建て替え層がターゲットになります。
 
課題は「タマホームのブランドイメージ」だと思います。タマホームは、新聞が「低価格」と書くくらい「安いブランド」のイメージがついています。はたして建物だけで3,000万円を超える家を建てる人たちをタマホームに呼ぶことができるでしょうか。積水ハウスや三井ホームなどの大手ハウスメーカー、もしくは高価格帯住宅を手掛けているブランド工務店などで建てる人たちです。この顧客層が、この価格帯の家を、「ローコストイメージ」のあるタマホームでなぜ建てるのか?その明確な理由が必要になります。
 
次に「営業」です。
「一次取得者層」と「高所得・建て替え層」とでは接客対応はまったく異なります。一次取得者層の関心事は極端に言えば「買えるかどうか」がメインです。年収から借りられるローン額を算出して予算を決めます。「この予算でこれくらいの家は他では建てられない」とコストパフォーマンスを訴求して、クロージングをかければ一定割合で契約は取れます。打ち合わせ期間も短くてすみます。
 
しかし、「高所得・建て替え層」はそうはいきません。予算はあります。お客様のニーズをつぶさにくみ取り、それをいかに家づくりのプランに反映させることが出来るかが大事になります。当然打ち合わせ期間は長くなります。ヒアリング力、提案力、カスタマイズ力、調整力など総合的な営業力が求められます。
 
これは簡単ではありません。低価格帯の家の売り方に慣れている営業担当者は頭を切り替えないといけません。営業担当者の再教育、もしくは新規採用が必要になるかもしれません。

 
■ブランドを変える難しさ:ユニクロの事例
 

「ターゲット顧客のセグメントを変える」というのは業種や業界を問わずとても難しいことです。
例えば、ユニクロ。ユニクロは低価格から始まりましたが、今は中価格帯を目指しています。
 
2009年には海外の有名ブランドであるジル・サンダーとコラボして「+J(プラス・ジェイ)」という高価格帯市場を狙ったブランドを立ち上げました。しかし、最初こそ話題になったものの、結局「+J」は2011年には撤退を余儀なくされました。原因のひとつは、販売も商品もユニクロの一ブランドとして展開してしまったことだと言われています。いくらユニクロが高価格帯の商品を出しても、そもそも消費者がユニクロに対して高価格帯の商品を求めていなかったのです。
 
このユニクロの事例は「ブランドを変える難しさ」を語るときによく使われます。
あるブランディングが確立された商品やサービス、会社が違うブランディングを展開しようとするとき、大きな障壁となるのは消費者の頭の中にある「イメージ」です。
 
ユニクロは今も中~高価格帯の商品を投入していますが、残念ながらなかなかふるいません。

 
■タマホームは「下から上」のブランドシフトの成功例になるか?
 

ファッションでも外食でも、高価格帯ブランドがセカンドラインを作って中低価格帯市場を取り込んでいくという戦略はよくあります。「上から下」のブランドシフトですね。
この時に注意すべきは「ブランドの棄損」です。安いイメージがついてこれまでの顧客層が離れていかないようにすることですね。
 
一方、低価格帯から高価格帯へのシフト、「下から上」のブランドシフトはあまり成功例がありません。難しいのは「安いブランド」というイメージですね。
 
アメリカで「良質な大衆車」のイメージが浸透していたトヨタは高級車販売で苦戦していました。そこでまったくの別ブランドとして「レクサス」を立ち上げました。高級なホテルラウンジをイメージしたショールームを作り、飛行機のファーストクラスのような顧客対応をしました。嘘かホントか、アメリカではレクサスがトヨタであるということを知らない人もいるとか、いないとか。
 
タマホームも高価格帯住宅を、別会社を立ち上げて展開するようです。住宅業界の「下から上」へのブランドシフトの成功例となればとても興味深いです。タマホームのチャレンジを興味深く見ておきたいと思います。
 
今回は以上です。
次回もお楽しみに!
 
 

【編集後記】 「株、乱高下~」
 
大変なことになっていますね。株価。
先週、日経平均が二日間で1,600円以上下落しました。どうなることかと思ったら週明けに一日で1,100円も上げました。もう毎日の振れ幅がデカ過ぎて茫然とします。「日銀のマイナス金利が悪い」などと言っている政治家もいましたが、ほぼ関係ないですね。これ完全に海外要因です。もはや予測不能となりつつある世界経済。ある意味、毎日面白いです。(株は大変ですが…)