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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第234号 『今、企業の利益は設備投資には回らない?』
     ~企業行動が多様化する中、私たちはどうすればいいか~
2016/01/05

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第234号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

 
■2016年、景気回復の鍵は企業の投資?
 

2016年が始まりました。
今年こそ、さらなる経済成長を果たして長く続いたデフレからの本格的な脱却を果たしたいものですね。

安倍晋三首相は4日の年頭記者会見で次のように話し、経済界の協力に期待を示しました。

『(アベノミクスとして)経済最優先で取り組み、もはやデフレではないという状況を作り出した。
しかしながらまだデフレ脱却というところまで来ていない。
賃上げ、設備投資による好循環を力強く続けられるかにかかっている。』

大手企業を中心に好業績が相次いでいるにも関わらずGDPの成長率が低調なままなのは、
「企業が稼いだ収益を設備投資や賃金アップなどで世の中に還元することなく、内部に貯め込んでしまっているからだ」
という批判があります。
財務省の法人企業統計によると、2014年度の全産業の企業の内部留保は約403兆円と過去最高水準に達しています。
5年前(2009年度)に比べて約100兆円も増えました。

政府にしてみれば、量的金融緩和で市場にマネーを大量に供給し、円安に誘導し、株価も上げ、法人税減税までもして企業活動をしやすくしてきているのに企業がもっとお金を使ってくれないと経済が良くならないじゃないか、といったいらだちはあるでしょうね。

 
■投資はしても「いわゆる設備投資」ではなく…
 

経済界にしてみれば、あまりに長く続いたデフレ経済に慎重になっていた面はあったと思います。
今、業績が良いといってもいつまた不況になるかわからない、という不安ですね。
なにより、日本経済を取り巻くパラダイムが大きく変わりつつあるのを感じて、稼いだ利益を何に使えば良いのかを見定めていたといった方が強かったかもしれません。
そして、緩やかに景気が回復してきて、人手不足が起きている業界からようやく少しずつ賃上げが始まっています。
そして投資も増えつつあります。
しかし、2015年に大企業を中心に行われた投資は、日本経済活性化のすそ野を広げるような、「いわゆる設備投資」ばかりではありませんでした。
ではどんな投資だったのか、というと…
↓↓↓

<日本企業による海外企業のM&A、年間10兆円突破>
(2015年11月19日付 朝日新聞)
『2015年の日本企業による海外企業の合併や買収(M&A)が、11月時点で年間で初めて10兆円を超えた。
14年度(5兆7800億円)の約1.7倍の勢いで、9年ぶりに過去最高を更新した。』

今、日本の大手企業は手元に積み上げた余剰資金を国内の設備投資だけではなく、海外企業の買収にも使っています。
海外企業のM&Aは日本のGDPに直接的には影響を与えません。
海外企業のM&Aに使われたお金は、「いわゆる設備投資」のように、日本で用地を買い入れたり、工場を建設したり、機材は購入してラインを据え付けたり、工員を雇用したり、というような日本のGDPを増やすようなマネーフローにはなりません。
相手企業の株主から株を買い取るわけですから、単に株主のフトコロにお金が入るだけです。
海外企業なら大体その株主は海外の人でしょうから日本の資産にはなりません。

ちなみに国内企業同士のM&Aの総額は2015年の同時点で約3兆1000億円です(M&A仲介大手レコフ調べ)。
海外M&Aのおよそ1/3ですね。

 
■輸出型企業だけでなく内需型企業も海外へ投資をする時代に
 

海外M&Aと言えば、自動車関連産業や電機産業のような輸出型製造業のイメージだと思いますが、最近では、東京海上ホールディングス、明治安田生命、ユニクロ、近鉄エクスプレス、日本郵政、JTなど、金融・保険、流通、サービスなど内需型企業のM&Aも増えています。

この背景には日本経済の「パラダイムシフト」があるのだと思います。
例えば、少子化と高齢化の同時進行や人口減少による国内市場の縮小ですね。
今後、国内市場の先細りが明らかな中、現時点で豊富にある手元資金を使って海外の成長市場を取り込もうとしているのです。
例えば、保険会社にとって少子高齢化は新規顧客となる若年層が減る一方で保険金支払いは増えることを意味します。
すでに国内シェアが高い大手保険会社が成長を続けようと思ったら海外市場に出るしかないですよね。

そして、新しい市場や新しい事業領域に参入する際には、ゼロから拠点を作って、許認可を取って、雇用をして、営業活動を行うよりも、すでに経営されていて収益状況がわかっている企業をそのまま買うM&Aの方が投資のリスクは見えやすいです。
特に商慣習が異なる海外に進出する場合には有効です。

安倍首相は「今こそ企業が設備、技術、人材に積極、果敢に投資をしていくときだ」と呼びかけていますが、それはあくまでも国内での投資です。
海外投資ではGDPへの波及効果はとても小さいものになります。
では、日本の企業がグローバル展開することに資金を投じることはダメなことかと言えば、そんなことはありませんよね。
むしろ日本企業が存続・発展するためにとても大事なコトです。
今はグローバル経済なのです。こちらから仕掛けないと逆にやられてしまいます。
顧客資産と現預金を多く持つ企業は、海外企業から見たら格好のM&Aのターゲットです。
縮小する国内に縮こまって体力をすり減らしているわけにはいかないのです。

 
■「フラット化する世界」の中で私たちはどうすればよいか?
 

10年前にベストセラーになった『フラット化する世界』(2006年 日本経済新聞出版)の中で著者のT・フリードマンは「世界はふたたびフラットになった」としています。
フラット化とは、例えばデジタル技術の進化により競争条件が世界のどこでも同じになったというようなことです。
今では世界中どこから電話をしても通話料金は同じですよね。
データの転送容量とスピードが上がったことで建築の製図や、アニメの作画、計算事務、コールセンター業務などの仕事が海外で行われることも普通になりました。

フラット化する世界では、新興国は先進国の資本と技術を得るのが容易になりますし、先進国は新興国の成長市場を狙いやすくなります。
このグローバルにフラット化する世界では、新興国や途上国は成長しますが日本のような先進国は大変です。
何もしなければ会社や仕事が奪われてしまいます。
そして、何もしなければ、私たちの生活水準は低い方へ推移していくことになります。

これも「パラダイムシフト」ですね。
世界がフラット化するのと同時に、日本では少子化と高齢化が同時進行しながら人口が減少しました。
経済のパラダイムが変わったのです。
そんな中、企業活動は多様化します。
一律に業績が良くなることもないし、稼いだ利益を国内の設備投資に回すことだけが投資でもなくなります。
賃上げも一律には進まないでしょう。

いつも同じことを言っていますが、給料が上がらないのは政治のせいではないのです。
経済がグローバル化して資本や仕事が海外に行っている中、企業行動が多様化しているからです。

フリードマンはフラット化で新たなイノベーションが起きるとしています。
現状を悲観することなく、誰かのせいにすることもせず、自分、そして自分の会社の付加価値は何なのかを認識して、前向きに生きること。
そして付加価値を高めるようなイノベーションを起こすこと。
まさにそれが大事だと私も思います。

年頭にあたっての思いを書きました。元気を出していきたいと思います。
皆さま、今年も良い年にいたしましょう。

 
 
 
【編集後記】 「新年早々…」
 
あけましておめでとうございます。
新年早々大きなニュースが入ってきましたね。
サウジとイランの対立です。これはかなりヤバイ感じがします。
IS(イスラム国)のレベルではないですからね。
この大国間同士の政治的対立が紛争に発展したりしたら世界経済は混迷を極めるでしょうね。
かなりの国が巻き込まれますよ。
やはり今年も国際情勢が日本経済に大きな影響を与えそうです。
「もう、仲良くしてよ~」と思いますけどね。
ま、色々ありますが今年も宜しくお願いいたします。