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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第215号 『財政再建と経済成長、どちらを優先すべきなのか?』
     ~2015年4月10日付 日本経済新聞から見る日本経済の今とこれから~
2015/04/14

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第215号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、
ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」
管理人の川瀬です。

 

先週の4月10日(金)の日本経済新聞は今とこれからの日本経済を考える上で読みどころ満載でしたね。

さて、以下の5つの記事、皆さんはどのように考えますか?

 

■記事その1 「歳出は過去最高」

 

まず2015年度の政府予算の記事からです。これをどう考えたらよいのでしょうね?

<財政健全化へ視界不良 15年度予算成立、歳出最高の96兆円 成長と両立、課題多く>

(2015年4月10日付 日本経済新聞)

『2015年度予算が9日、参院本会議で可決、成立した。社会保障費の膨張で歳出総額は96兆3420億円と、過去最高の更新が続く。(中略)経済成長を損ねずに財政を健全化する道筋は不透明だ。』

 

デフレ脱却から安定的な経済成長を目指している安倍政権ですが、一方で借金が膨らみ続ける日本の財政をどうするかという課題も抱えています。財政再建のためには歳出を抑えないといけません。でも財政再建を優先して増税ばかりすると消費を冷え込ませたりして経済へは悪影響を与えます。昨年の5%→8%の消費増税は明らかに回復しつつあった景気の腰を折りましたよね。

 

経済成長と財政再建。

この両立しづらい2つの課題をどう考えたらいいのでしょう?

 

■記事その2・その3 「景気は良くなってきた」

 

その日本経済についてですがかなり良くなってきていると感じます。

「いよいよ日本経済も次のステージに入ったのではないか?」と思っています。

まず一面トップはこの記事です。

<小売り、8割が増収増益 今期経常、消費回復手応え 最高益、セブンなど3割>

(2015年4月10日付 日本経済新聞)

 

この日(4/10)、日経平均株価が一時的ではありますが2万円を超えました。今までグローバルに活躍する国際優良銘柄の株価が先行していましたが、この好業績と先頃からの賃上げ報道などを好感して国内小売業種やサービス業などの内需関連株へも波及してきました。

 

お金の回り方も良くなってきたようです。

<貸出残高、6年ぶり伸び 14年度2.4%増、大口融資が拡大>

(2015年4月10日付 日本経済新聞)

『日銀が10日発表した貸出・預金動向(速報)によると、2014年度の銀行(都銀等、地銀、第二地銀)に信金を加えた貸出平均残高は前年度比で2.4%増の480兆8345億円で伸び率は08年度(2.4%)以来6年ぶりの高さだった。』

 

いくらアベノミクスで金融緩和をしても、お金の「仲介役」である銀行の貸し出しが増えなければ世の中にお金は回っているとは言えない、と私もここでよく言ってきました。それが、景気が良くなってきて、企業が本格的に在庫を増やしたり、賃上げや雇用を回復させたり、設備投資したりして事業拡大を図りつつあるということでしょう。

 

■記事その4 「デフレギャップほぼ解消」

 

4月10日の記事の中でも私が注目したのはこの記事です。本当に「いよいよだな」と思います。

<需要不足ほぼ解消 日銀 物価、強気の見通し>

(2015年4月10日付 日本経済新聞)

『日銀は9日に発表した4月の金融経済月報で、日本経済の需要と潜在的な供給力との差を示す「需給ギャップ」を公表した。昨年10~12月はマイナス0.1%となり、デフレにつながる需要不足がほぼ解消した。』

 

「需給ギャップ」については一年ほど前にもここで書きました。

(ハッピーリッチ・アカデミー198号『デフレギャップの解消をどう見たらいいのか?』 2014年8月19日)

復習です。「需給ギャップ」とは、国の経済全体の「総需要」と「供給力」の差のことですね。

「総需要」はGDP(国内総生産)とほぼ同じ。「供給力」は国内の労働力や製造設備などのキャパから推計される、とされています。

景気が良くなって、「需要」が「供給力」を上回ると、需給ギャップはプラスになって、物価が上がりやすくなります。これが「インフレギャップ」(需要>供給)と呼ばれる状態です。

逆に、景気が悪いと、「需要」が「供給力」を下回って、需給ギャップはマイナスになり、物価が下がりやすくなります。これが「デフレギャップ」(需要<供給)と呼ばれる状態です。

 

日本がずっとデフレだったのは、景気が減退して需要が落ちていく一方で、生産設備や労働力が過剰にあった状態、すなわち「需要」が「供給力」を大幅に下回っている「デフレギャップ」になっていたからと言われていました。一時はこのデフレギャップが「GDP対比約6%、金額にして30兆円ほどのギャップがある。」と報道されていましたね。

 

この「需給ギャップ」ですが、約1年前の今頃、2014年1~3月には消費増税前の駆け込み需要も加わり、約6年ぶりにプラスになりました。デフレギャップからインフレギャップに転じたわけです。それで私も「いよいよデフレ脱却か!」とはしゃいだわけですが、4月以降には消費増税の影響もあって、またマイナスに戻り、2014年7~9月にはマイナス0.4%(←再びデフレギャップ)まで悪化しました。

2014年10~12月は消費増税の反動減の影響も薄らいできたのか、実質経済成長率(GDP成長率)がプラスに戻り、デフレギャップもマイナス0.1%とほぼ解消されてきた、というのが先の記事です。記事の中で日銀は「需給不足(デフレギャップ)はほぼ解消した。今後も緩やかな改善が続く。」としています。

 

■経済が次のステージが入る、とは?

 

この「デフレギャップ解消」は、本当にそうなのかよく見て行かないといけないとは思いますが、昨今の企業業績や設備投資状況、賃上げ、人手不足の状況などを見ると確かに潜在供給力に総需要が追い付いてきているようにも感じます。

そうなりますと、経済は次のステージに入ります。

アベノミクスでいうところの「第1の矢:金融緩和」と「第2の矢:財政支出」は、「総需要が不足している」という「デフレギャップ」が前提です。だからまずは需要を刺激してデフレを解消しようとしたわけですね。総需要を刺激するために量的緩和や自動車減税、住宅減税、大規模な公共投資などを進めてきたわけです。

これが効いてきた、すなわち総需要が増えてきてほぼ日本の潜在的な供給力の天井を越えようとしているというのが「需給ギャップが解消してきた」ということです。働く意思のある人が目一杯雇用されていて、国内の生産設備も目一杯稼働している状態になっているとすると、ここからさらに金融緩和政策や財政政策をして需要を刺激しても、もう供給力は目一杯なのでGDPはこれ以上増えることはなく物価が必要以上に上がるだけになります。つまり、これからは「インフレギャップ」の」状態になっていくかもしれないということです。

 

これからは、需要を刺激するのではなく、潜在的な成長力を増やさないといけない。

これが「次のステージ」です。供給力が天井に近付きつつあるなら、これからは供給力を高める政策を取らないといけません。例えば、労働力を増やしたり、設備投資を促進したりする政策ですね。

 

これがアベノミクス第3の矢、「成長戦略」だと私は理解しています。これから政府は労働供給力を高めるために女性や高齢者の働きやすい環境を整えたり、雇用規制を改革したり、経済特区の創設や規制緩和などを進めていくことになります。これがうまくいかないと、急激なインフレになるか、GDPが増えずにまた経済停滞に逆戻りすることになります。

 

■記事その5 「アメリカも構造改革せよ」

 

同日(4/10)の日本経済新聞の夕刊には、アメリカ財務省発の記事がありました。

<量的緩和依存にリスク 米財務省が報告書、日本に景気底上げ求める>

(2015年4月10日付 日本経済新聞)

『米財務省は9日、主要貿易相手国の為替政策や経済情勢を分析した半期為替報告書をまとめた。消費増税後の日本経済について「内需の弱さに懸念が残る」との判断を示した。量的金融緩和だけではデフレを克服できないリスクがあると指摘し、財政支出や構造改革も含めた景気の底上げに努めるよう求めた。(中略)日本に関しては「財政再建を急ぎすぎると、景気の回復が危うくなる」とも指摘し、次の消費増税も慎重に判断すべきだとの考えをにじませた。』

 

「日本は量的金融緩和だけでなく、これからは構造改革をして底上げをしろと」という指摘です。ここから先は、規制改革などの構造改革をして潜在成長力を上げないと本格的にデフレからは脱却できない、そのためには「財政再建を急ぐな」というのがアメリカからのメッセージです。(余計なお世話のようにも思いますが…)

 

私は日本の財政状態を危惧しています。しかし、今はようやく脱しつつあるデフレ経済との決別を優先すべきなのかもしれません。経済と財政はどっちも大事。でも状況に応じた優先度の違いはあるのだろうと思います。

これから「構造改革」の名の下に行われるであろう規制緩和などが、潜在的な成長力を上げるためのものなのか、社会保障などにおける既得権益へ切り込むものなのかはしっかり見ておきたいと思っています。そして本格的にデフレ経済から日本が脱することを願っています。

 

今回は以上です。

もっと日本がよくなりますように。

 

【編集後記】 「冬に逆戻り?」

 

「春が来た!」と思ったのにまた急に寒くなりましたね。私も油断していたら、体調を崩してしまいました・・・。景気もこうなりませんように。