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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第205号 『アベノミクスを評価するために必要なこととは何か?』
     ~置かれている環境が異なる4つの視点からみたアベノミクスとは?~
2014/11/25

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第205号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、
ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」
管理人の川瀬です。

さて、選挙ですね。今回は「アベノミクスをどう評価すればいいのか」について考えてみたいと思います。

■選挙の争点は「アベノミクスの評価」?
消費増税の延期とともに衆議院が解散し、12月14日に衆議院総選挙が行われることになりましたね。巷では「国民に何を問う選挙なのか?」という声があふれていますが、新聞やテレビなどの報道を見る限り一番多いのは「アベノミクスを評価する」というもののようですね。
アベノミクスはうまく行っているのか? このまま同じ路線で進んでいいのか?
そういった、いわば「アベノミクスの総点検」が早速始まっています。
街頭インタビューなどでは、「景気回復がまったく実感できない」とか「円安でむしろ大変になった」といった声が紹介されています。
「賛否両論」ですが、報道ではどちらかというとアベノミクスには批判的な論調が多いように感じますね。

さて、アベノミクスはうまく進んでいるのでしょうか?
僭越ながら、先に私の考えを申し上げます。
「アベノミクスの評価はその人の置かれている環境によって違います。」

「何を当たり前のことを…」と思われたと思いますが、世間の議論はその当たり前のことが前提とされていないように感じますのでそこを整理してみたいと思います。

■環境の軸 その1 「グローバル経済 vs ローカル経済」
まず、「置かれている環境」を2つの軸で分けてみます。
ひとつ目の軸は「経済市場の違い」。もうひとつの軸が「世代の違い」です。

(※以下はあくまでもイメージであり、当然例外はあります。ここでは大きな分類をするために少々乱暴にカテゴライズしていることをお含みおきください。)

まず「経済市場」ですが、企業やそこで働く人たちが世界を相手にしている「グローバルな経済」に関わっているのか、それとも日本国内だけ、もっというと住んでいる近隣の市場だけを相手にしている「ローカルな経済」に関わっているのかでアベノミクスの評価は大きく分かれるはずです。

グローバルな市場で戦っているグローバル企業は、主に自動車や電機、素材産業などの製造業で、その多くは大企業です。市場は日本国内のみならず、成長著しいアジア諸国や景気が回復している北中米や南米になります。多くの企業は上場しているのでアベノミクスの株高の恩恵を受けて企業価値が高まっています。資金調達も低金利で出来ます。円安効果もあって過去最高の利益を上げている企業も多くいます。そういう企業に勤務している社員たちは賃金も上がっています。
グローバル経済で戦っている企業の多くは間違いなくアベノミクスの効果を実感しているはずです。

かたやローカルな市場で戦っているローカル企業は、主に地域の飲食店や小売店などのサービス業や町工場などの下請け製造業で、その多くは中小・零細企業です。市場は元気のない国内や人口が減少し続けている地方都市になります。多くは未上場の中小・零企業なので株高は特段関係ありません。円安のお蔭で輸入原材料やエネルギーコストなどが増えてしまい利益率が大きく低下しています。儲かっていませんので今のところ社員の賃金が上がることはありません。
ローカル経済で戦っている企業の多くはアベノミクスの効果はまったく感じていないはずです。

■環境の軸 その2 「現役世代 vs シニア世代」
次はもう一つの軸である「世代の違い」です。
30~50代の「現役世代」と60代以上の「シニア世代」でもアベノミクスへの評価は恐らくまったく違ったものであると思います。

現役世代は、マイホーム世代であり子供の教育世代です。
住宅ローンや自動車ローン、教育費支出などを抱えているため金融資産に乏しく、30代ではローンが貯蓄を上回っている純資産マイナス状態です。子育て・教育費用もかさむため今でも消費支出は目一杯で、所得が増えない限り、将来の老後に備えた貯蓄もできません。
インフレで物価が上がるのは厳しいのですが、どうせ所得の範囲内でしか支出はできませんから所得を増やしたいと思っています。とするとデフレ時代には給料が下がり続けたため、まだインフレの方が望ましいでしょう。ローン世代のため金利が上がるのは困りますから、今の金融緩和による低金利の恩恵は受けていると言えます。自分たちが年金世代になる頃に日本の社会保障制度が維持されていないと困るので財政再建はしてほしいと思っているはすです。

一方、シニア世代の多くは年金世代です。
日本の約1,500兆円の個人金融資産の7割はこのシニア世代が保有しています。銀行預金が多くあるので出来れば預金金利は上がってくれた方が嬉しいです。年金の額はほぼ決まっているので景気がどうなろうとあまり関係はありません。収入額が限られていますので物価が下がるデフレの方がありがたいくらいで、消費増税などで負担が増えるのは論外です。財政再建はした方がいいだろうとは思っていますが、年金の削減や医療費負担の増加など自分たちの負担が増えるのは困るので政府の歳出削減策にはネガティブです。
老後にミジメな思いはしたくないので虎の子の金融資産は政府がいくら金融を緩和しても財政を出動して景気対策をしても動くことはありません。

消費税についても、現役世代は「いくら財政再建のためとは言え、これ以上所得税を上げられるのは困る。広く高齢者の皆さんにも負担してもらいたい。」と思っているでしょうし、シニア世代は「年金が限られているのだからこれ以上負担は増やしたくない。」と思っているでしょう。

■アベノミクスを評価する国民の置かれている環境は四つに分かれる
以上2つの軸で考えますと、国民の置かれている環境は全部で4つに分かれます。

国民の置かれている環境

(1)グローバル経済・現役世代
  都会の大企業で働くビジネスマン。最もアベノミクスの恩恵を受けているはず。
(2)グローバル経済・シニア世代
  大企業をリタイア。キャッシュリッチ。株高の恩恵を受けている。
(3)ローカル経済・現役世代
  地元に暮らす。給与は上がらず、景気回復の実感なし。
(4)ローカル経済・シニア世代
  虎の子の貯蓄で細々と暮らす。消費増税負担の影響は大きい。

街頭インタビューをしたとしても(1)「都会の大企業勤務のビジネスマン」に聞くのと、(4)「地方のお年寄り」に聞くのではアベノミクスの評価が180度違うのは当たり前ですね。

消費増税延期は経済の平均指標である「GDP成長率」を基に判断が下されました。でも国民の置かれている立場がこれだけ異なる環境に分かれてしまっている日本経済においては、もはや「平均」はあまり意味をなさないのかもしれません。東京にいてグローバル経済に触れているエリートエコノミストが景気判断を読み間違えたのは仕方がないのかも…と思います。

■本当に考えなければならないこととは?
さて、選挙です。
アベノミクスを評価するためには「どこの視点から見るかによって評価は変わってくる」という前提に立つことが必要です。
ただ、前述の四象限の中で最も人口が多くて、選挙にも積極的に行くのは多分、(4)の「ローカル経済に暮らすシニア世代」だと思いますので選挙ではここを意識した声が多く取り上げられることでしょうね。

でも、本当に考えなければいけないのはこの四象限にいない人のことだと思います。
それは10年後、20年後の将来の日本を背負う「子どもたち」です。
将来の日本が世界でも競争力ある経済を持ち、彼らが誇りを持てる国であるために今の大人である私たちはどんな判断をしなければならないのか。
目先の損得ではなく、将来の日本のことを考えている候補者に票を投じたいものだと思います。

今回は以上です。
もっと日本がよくなりますように。

【編集後記】 「GDPショック」
7~9月のGDPがマイナス0.4%と予想を大きく下回りましたね。消費は回復してきたのですが、それでもわずか0.4%のプラス。大きく足を引っ張ったのは在庫と住宅投資でした。結局、消費増税の反動の影響が長引いたということでしょう。
ただ、在庫は減ったら増えるものです。回復が遅れていた住宅受注もようやく戻ってきました。次の10月~12月のGDPは間違いなく改善すると思います。しかも「劇的なレベル」で。
これも予想が当たったら褒めてくださいね。(←え、みんなそう思っているって?)