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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第179号 『ヤマダ電機で何が起きているのか?』
     ~赤字転落のウラにある環境変化とは?~
2013/11/12

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第179号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

『ヤマダ電機で何が起きているのか?』
~赤字転落のウラにある環境変化とは?~

今回は家電量販店の話です。
業界トップのヤマダ電機が赤字転落しました。さて、何が起きているのでしょうか?

家電量販業界トップのヤマダ電機が中間決算で初の赤字になったようです。

<ヤマダ電機が初の最終赤字 4~9月TVなど不振>
(2013年10月15日付 日本経済新聞)
『ヤマダ電機は15日、2013年4~9月期の連結最終損益が42億円の赤字(前年同期は139億円の黒字)になったと発表した。
従来予想(49億円の黒字)から一転、02年の連結決算への移行後4~9月期として初の最終赤字となる。薄型テレビなどの販売が当初見込みを下回った。海外の店舗閉鎖に伴う特別損失の発生なども響いた。』

最終赤字になった原因としては、
(1) 薄型テレビやレコーダーなどの主力商品の不振
(2) 多角化戦略で展開している住宅分野への人材投資や販促費用がかさんだこと
(3) 中国事業の見直しに伴う南京店などの閉鎖
などがあげられています。

これらの理由を損益でみると、(1)は「売上高の減少」、(2)は「一般販売管理費の増加」、(3)は「特別損失の増加」になります。
いずれも損益にはマイナスに働きます。
ただ、(1)の売上の落ち込みはいずれ回復するでしょうし、(2)は戦略事業への先行投資的な意味合い、(3)は不採算店撤退の一時的な損失であり、これらのことだけなら大きなニュースにはなりません。市況が回復して、戦略事業が軌道に乗って、不採算店がなくなっていれば来年以降は業績も回復するでしょうからね。

■家電の買い方が変わってきた!?

おそらくこのニュースの一番のポイントはこれです。
↓↓↓
『アマゾンジャパンなどネット通販会社の販売価格に店頭価格を合わせる措置で販売する際の利ざやが縮小した。』(日本経済新聞同記事)

家電量販業界では従来から他社提示価格よりも安く販売するという「最低価格保証制度」が一般化しています。ヤマダ電機では今年の5月上旬から、その対象を家電量販業界の競合他店だけでなく、通販サイトの商品にも広げたようです。

これは「ショールーミング」と呼ばれる購買行動に対抗したものです。
「ショールーミング」とは、店舗で商品の実物を比較検討したあとに、ネットで安く購入することです。実際の店舗がショールームのように利用されるためにこう呼ばれています。
今では、スマホを使ってお店で商品のバーコードを読み取るだけで、その場で簡単に価格を比べられるようなアプリもあります。
アマゾンを筆頭とするインターネット通販サイトとの価格競争が激しくなって採算が悪化しました。
これは、ネットショッピングの一般化により、消費者の家電の買い方が変わってきたということです。

「利ざやが縮小した」とありますが、「利ざや」というのは「粗利率(売上総利益率)」のことです。「粗利率」は本業の採算性を見る上で一番重要な指標です。
粗利率が悪化しているというのは本業に何かが起きていることになります。

ヤマダ電機の場合、24年9月中間期に「25.3%」あった粗利率が、この25年9月中間期では「22.5%」まで落ち込みました。
この粗利率の低下が一時的な要因ではなく、「家電の買い方が変わってきた」という事業構造上の要因であることが問題視されているのです。
これは家電量販業界の存亡にかかわる環境変化とも言えるでしょう。

■企業は「環境適応業」

時代の変化や技術の進歩でそれまでの優良企業がダメになることはよくあります。
例えば、デジタルカメラが普及したことでフィルム業界のトップだったコダックが倒産したり、最近では無料ケータイゲームの普及でゲーム機メーカーである任天堂やソニーの売り上げが落ち込んだりといったようなケースです。
「企業は環境適応業である」と言われます。企業は、常に進化し、変化し続ける市場環境を見通して経営戦略を組まねばならないということです。
ネット通販が出始めた頃から小売店の「ショールーム化」を危惧する声はありました。これがネット通販で商品を買うことがいよいよ一般化してきて、あらゆる顧客層がネット通販を利用するようになったということだと思います。いよいよネットと店舗が本格的に競合する時代がきたということでしょう。

■「ショールーミング」へどう対応するか?

この「ショールーミング」にヤマダ電機は今後どう対応してくのでしょうか。
もともと店舗投資もなく販売管理費も低いネット通販とリアル店舗が価格勝負したら結果は見えています。価格競争に限界がある店舗サイドとしては、ネットにはない「付加価値」を提供していくしかないと思います。

例えば、ネットとの一番の違いは「接客があること」ですから、まずは接客を見直すところからではないでしょうか。
販売員の総合的な提案力、サービス力、対応力は店舗の基本です。
ヤマダ電機は多店舗展開のスピードに販売員の成長が追い付かず、現場での提案力、対応力が低下しているとの声も聞かれます。
同じ家電量販店でも比較的に「顧客満足度が高い(※)」と言われているケーズデンキやエディオンの粗利率は落ちていません。エディオンではむしろ粗利率が上昇しています(24年9月期:24.5%→25年9月期:26.5%)。

家電量販店が出てきたときに、同じく環境変化で苦境に立たされた、街の電器屋さんはどうしたでしょうか?
多くは確かに淘汰されましたが、生き残っているお店もあります。そういう電器屋さんは地域密着度を高めて、高齢者世帯などに積極的に出向き、取り付けや修理などを丁寧に対応したサービス力で勝負しています。
こういうところにもヒントがあるのではないかと思います。

どんな企業も環境変化に立ち向かっていかねばなりません。
ヤマダ電機がこの環境変化にどのように立ち向かっていくのかをよく見ていきたいと思います。

※サービス産業生産性協議会の「顧客満足度指数」では
家電量販業界の顧客満足度は、1位ヨドバシカメラ、2位ケーズデンキ、
3位エディオンとなっています。
1位のヨドバシカメラは非上場のため粗利率が検証できませんでした。

今回は以上です。
もっと日本が良くなりますように。

【編集後記】 「おめでとう!楽天ゴールデンイーグルス」

今年のプロ野球の日本シリーズは見応えがありましたね。
見事に楽天が日本一になりました。いまだ震災復興の途上におられる東北の皆さんも勇気づけられたではないでしょうか。
「判官びいき」もあったようで楽天を応援する声が多かったようですが、巨人も見事な敵役を演じてくれましたね。どちらも素晴らしかったと思います。
(来年こそ我らがタイガースも・・・)