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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第106号 『開放or保護? 関税協定をめぐる問題とは?-その2-』
    ~農政改革への覚悟を注視しよう!~
2010/11/24

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第106号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は前回の続編です。
政府が参加を目指してきた「環太平洋経済連携協定(TPP)」については、結局「参加」を明言できず、「情報収集しながら関係国と協議する。」というなんだかはっきりしない結論となりましたね。

『開放or保護? 関税協定をめぐる問題とは?-その2-』
 ~農政改革への覚悟を注視しよう!~

TPPはこのアジア太平洋地域にEUや北米自由協定のような新しい経済の枠組みを作ろうという大きな構想です。
そこに参加する諸国は、自国の犠牲をある程度払ってでも、将来の大きな果実を得るために腹をくくっています。日本はコメなどの農産物を例外品目にしたいという思惑があるようですが、すべての貿易品目を関税撤廃対象としているTPPにおいてはそんな腹積もりなら仲間にも入れてもらえないでしょう。
今はまだまだ覚悟が足りていないと思います。

■FTA先進国、韓国が示した覚悟とは?

身近にその覚悟を持って市場開放を果たしたお手本があります。
アメリカなどとのFTA交渉で先行する韓国です。
韓国もFTAを推進する過程においては日本と同様に農業問題がハードルになりました。それを乗り越えたのは盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の強いリーダーシップだったそうです。

以下、日経新聞の記事です(2010年11月7日付 日本経済新聞)
<盧前大統領は10年間で約1兆5千億円規模の農民支援や農業改革策を講じただけでなく、自ら先頭に立って農民らの猛烈な反発を正面突破した。
「国民の力量を信じて韓米FTAを決断した。出来る限りの支援を準備するので『災い転じて福となす』きっかけにしてほしい」。盧前大統領は米韓合意前後、農場行脚やテレビ出演を通じて反対論の火消しに努めた。当時は農民が抗議の焼身自殺を図るなど反対運動が過熱しており、デモ隊がソウル市中心部を埋め尽くしたこともある。国会も与野党問わず反対論が渦巻いていた。
盧前大統領は強い推進姿勢を示すため対米交渉チームとは別に反対派の説得チームを編成し、公聴会などを合計200回以上も開催。政府交渉の前後には各農業団体代表者に対し方針や結果を細かく説明した。政府は「正確な情報を提供する」として新聞広告などを使って反対意見に正面から対応。盧前大統領は「先送りする方が不安要因は多い。いつか来る韓中FTAの事前準備にもなる。」と訴え、反対論を徐々に収めていった。>

盧武鉉前大統領の政治手法には賛否がありますし、日本と韓国は状況が違うとはいえ、「政治家としての覚悟」という点では見習うべき事例だと思います。

■農業の進む方向性とは?どんな意見があるのか?

さて、日本の農業問題ですがこれは異論各論噴出しています。
農家の意見と農水省やJAなどの農業関連団体の意見は必ずしも一緒ではありません。
同じ農家でもコメ、野菜、酪農といろいろありますし、専業か兼業かでも言い分が違います。


一体なにが正しいのかは正直わかりません。これから時間をかけて議論をしていくのであれば、広く情報が公開されていくことでしょう。

「関心があるけど農業のことはよくわからない」という方に、立場の違う方の書いた2冊の本をお勧めします。どちらも非常に読みやすい本です。

まず、『食料自給率のなぜ?~どうして低いといけないのか~』(農林水産省食糧安全保障課長 末松広行氏著 扶桑社新書)
この本で農水省の見解がよくわかります。どちらかというと国内農業保護の視点です。

もう1冊は、『日本は世界第5位の農業大国~大嘘だらけの食糧自給率~』(浅川芳裕氏著 講談社新書)。
著者は月刊「農業経営者」副編集長であり、客観的なデータと現場からの情報を元に日本の農業を強くするためにも市場開放は必要という立場に立っています。

これからは市場開放という観点から国内農業問題が議論されるでしょうから、私は今後の流れは後者の浅川氏の論調が強くなっていくんだろうなと感じています。

以下、「日本は世界第5位の農業大国」からの抜粋です。
『日本の農業は決して弱くない。日本はすでに農業大国なのである。農業の実力を評価する世界標準は農家が作り出すマーケット規模である。国内の農業生産額はおよそ8兆円(農水省発表)。これは世界第5位。先進国に限れば米国に次ぐ第2位。(中略)
農家数の急減が日本農業を衰退させる、という論調もあるがそれは全く実情を把握していない。確かに過去40年間で農家の数は激減したが、農業外所得の増大と農業の技術革新に伴い生産性と付加価値は飛躍的に向上している。すなわち今ある少数の農家だけでも日本国民の需要を十分に賄いきれるほど農場の経営は進歩を遂げている。これは日本に限った特殊な現象ではなく、農業就業人口の流動化、減少、生産性の向上はすべての先進国が歩んできた道である。その結果個々の農場が個別の経営判断により社会で自立した存在になり得るのだ。』


私は結構、「目からウロコ」の連続でした。ご興味のある方は是非ご一読を。

■これからの政策決定プロセスを注視しよう!

日本が関税撤廃を原則とした貿易協定を結ぶには国内の農政改革は不可避です。
菅総理は「開国と農業の再生を両立させる」と述べて、来年6月までに農政改革の基本方針を決めることとしました。
最終的には農家にいくらの財政支援をするのかという話になるのかもしれませんが、絶対に単なるバラマキに終わることのないようにしていただきたいと思います。悪しき前例としては、コメの部分的市場開放を決めたGATTウルグアイラウンド(1993年)があります。この時には約6兆円の農業対策費を用意しましたが、結局は大半が公共事業に消えたそうです。
農政改革は自民党政権が実現できなかった長年の課題です。
ですから民主党は政権交代時のマニフェストに「FTA推進。そのために農政改革を実行。」としていました。その補償として「戸別所得補償制度」も位置づけられていました。
それなのに、いつの間にかFTAも農政改革もどこかにいって戸別所得補償だけが残ったという不可思議な状況になってしまっています・・・。
今回のTPPをきっかけとした農政改革気運の高まりは民主党にとっても名誉挽回の好機のはず。
ぜひ腹をくくって、大きな視点で日本の農業の競争力を高める政策を打ち出してほしいと思います。

日本の行く末を決める大事な意思決定ですからね。私たちもしっかり注視したいと思います。

それでは今回は以上です。
次回もお楽しみに!

【編集後記】 「で、郵政は?移民は?」

本文の続きです。農業ばかりが注目されていますがTPPは市場の完全開放ですから他にも問題になりそうな分野はいっぱいあります。
まず人の移動。移民受け入れなどの方針はどうするんでしょう。
それから郵政。今は市場開放とはまったく逆方向に進んでいますけど・・・、これどうするんでしょうかね。
今後政府はいろんな分野で覚悟を問われます。なんといっても「開国」ですから。
閉塞感漂う日本にとっては現状の課題を見つめなおすいい機会になりそうですね。