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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第105号 『開放or保護? 関税協定をめぐる問題とは?-その1-』
    ~TPP参加見送りについて~
2010/11/09

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第105号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。
TPP、EPA、FTA・・・。
今回は最近話題のこのテーマを整理してみたいと思います。

『開放or保護? 関税協定をめぐる問題とは?-その1-』
 ~TPP参加見送りについて~

■「TPP」参加表明せず!政府のがっかりな対応

ここ数カ月間、国際・経済ニュースで巷をにぎわしてきた「TPP」。
「環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定」のことですね。
物品やサービスの国際的取引において関税などの障壁を取り除き、連携して貿易を活性化させようという複数国間の協定のことです。

貿易自由化を2国間でやる「FTA」(自由貿易協定)、FTAの範囲をさらに広げて、人や投資などの移動の自由化まで盛り込んだ「EPA」(経済連携協定)などと趣旨は同じです。
「TPP」はFTAを多国間で締結するものですが、品目に例外が少なく、100%の市場開放を原則としているのが特徴です。

経済的躍進著しい中国や韓国がFTA(自由貿易協定)を国家戦略として進める中、「日本も取り残されてはいけない!」という危機感から政府はTPPに積極参加しようじゃないか、と検討してきたわけです。

それでスッタモンダがあった挙句、「協議はするもののTPPに参加するかどうかはわかりません」という何ともよくわからない結論になりました。

何と申しますか・・・
「参加見送り」の結論の是非はともかくとして、この間のドタバタを見ていて情けなく思ったのは私だけではないでしょう。
私たちの失望は「いつまでも進歩しないな。そうこうしている内に日本が滅びるで・・・。」といったものではないでしょうか。

経済成長に対する戦略性の無さ、農業政策における大局観の無さ・・・。
すぐに政局にする政治家と自分の省庁のことしか考えないお役人。
何とも残念な気持ちになっています。

■なぜ、関税撤廃~自由貿易協定なのか?

私が社会人になった頃(約20年前)、通産省のペーペーだった先輩が「毎日GATTで寝る間もないよ~」などと言っていて、「カッコいい・・・」と思ったものでした。
多国間の自由貿易は経済界では長年のテーマです。今回、TPPに関して国内で行われた議論は20年以上前のGATT・ウルグアイラウンドの頃から何ら変わっていません。
輸出の生命線の経済界・通産省は自由貿易体制を願い、保護しか頭にない農水省・農業関連団体は断固反対するという構図です。

まず、新聞報道から日本経済の状況を整理してみました。

日本の輸出額は約59兆円。
そして日本企業が他国に支払っている関税額は2兆円を超えているそうです。
関税支払いの主要先は中国7,500億円、EUに4,500億円、そして米国にも3,000億円といったところです。日本はこの貿易総額の45.6%を占める3カ国とは自由貿易協定を結んでいません。

日本がFTAを結んでいる国・地域は、ASEAN諸国の他、メキシコ、スイスなどで、インド、韓国とは交渉中です。非関税取引が貿易総額に占める割合はわずか「16.5%」。交渉中のインド、韓国を含めても「36%」です。7割弱の貿易取引に関税がかかっている状況です。

■FTA先進国、韓国の状況は?

片や、今やすっかり水をあけられてしまった感のある韓国。
韓国は国家戦略としてFTAを効果的に推進しています。
ASEAN諸国の他、インドや欧州自由貿易連合(EFTA)とFTA締結済みで、米国、EUとも既に署名済みです。EUとは5年以内、米国とは10年以内に関税を撤廃することが決まっています。
韓国の非関税取引は交渉中まで含めると貿易総額のなんと「61.1%」。

日本と韓国は、自動車や電機など自国の主力製品が似ていてよく競合します。

日本は協定がないので関税がかかっています。
例えばEUでは自動車に10%、薄型テレビに14%の関税がかかっています。
一方、韓国は主要貿易相手国とFTA・EPAを締結できているので今後関税はかかりません。

政府が企業を後押ししてくれている韓国と、企業に任せきりの日本。

日本の輸出企業は、
①独歩高の円、②先進国最高の法人税、③関税の障壁
という3つの足かせをはめられながら頑張っています。

これではグローバル市場で外国企業としのぎを削っているような強い企業が生産拠点を序々に海外へ移転していくのも無理もありませんよね。
大手企業が海外へ移転するとその下請けをしている中小企業は仕事がなくなります。
労働者の雇用機会もどんどん失われていきます。
経済のグローバル化が進む中、FTAだろうがEPAだろうが、経済産業的には関税撤廃はやった方がいいのは明らかです。
それなのに、なぜ何十年も検討ばかりしていて進まないのでしょうか?

■進まないのは農業のせい?

自由貿易協定を進められないのは国内農業問題だと言われています。
農林水産省や農業団体は農業保護を訴えて市場開放に慎重姿勢を頑として崩しません。
こういう二律相反のテーマは大局的見地から政治判断で進めるしかないのですが、政治いつもはこれを政局に利用します。
今回の「TPPスッタモンダ」の際にも農水族と言われる自民党議員は「農業支援を全面に出せば民主党に勝てる!」と発言していました。

なんだかな~。

政府も政府でこんな長年の大問題をほんの数カ月でまとめて決めてしまおうということ自体、無理があります。
今の日本の関税品目は5,900品目もあるそうです。
かなり多方面と交渉・調整しないと完全撤廃は難しいのは誰でもわかります。
そもそも農産物が問題ならばまずは農業政策をどうするのかという方針固めをしないといけないのではないでしょうか。
そうすると人の移動も含めて100%障壁撤廃というハードルの高いTPPでなくても、2国間で条件付き締結が可能なFTAやEPAの交渉を、まずは主要貿易国のアメリカやEUと粛々と進めるべきなのでは、とも思えます。

急に「TPP、TPP」と大騒ぎしたのは、
APECでいいカッコしたかっからなのでは?
あわよくば支持率を回復させたかったからなのでは?
・・・などと邪推してしまうんですよね。

今回は以上です。
問題の農業政策については次回に調べてみたいと思います。

次回もお楽しみに!

【編集後記】 「龍馬おやじ増殖中」

尖閣諸島や北方領土の話題が連日報道を賑わしています。
そして私の周りでもにわかに愛国心が高まっている人が急増しています。
今、日本中の居酒屋で「このままでいいのか!?日本!」と多くのおっさん達が息巻いています。
そんな時、「どういたらえいがじゃ!?」などと大河ドラマ気分で話すおっさんも増えているのは、きっと私の周りだけではないと思います。
もうすぐ「龍馬伝」も終わりですね。寂しい気がしています。