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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第89号 『郵政民営化の本質は何だったか?』
    ~国有化逆戻りがもたらす弊害とは!~
2010/03/30

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』第89号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生
を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は政治の話です。
亀井大臣、というか国民新党念願の「郵政改革法案」についてです。
私、政治には努めてニュートラルでいたいと思っていますが、この郵政問題だけ
は少々度し難いものを感じており、今回書かせていただきました。
あくまで私見ですのであしからずご了承ください。

『郵政民営化の本質は何だったか?』
 ~国有化逆戻りがもたらす弊害とは!~

■国民新党の郵政改革案とは?

「言った!」「聞いてない!」というレベルで話題の郵政改革案です。
さて、その亀井郵政担当相が発表した郵政改革案の概要は次の通りです。

【郵政改革の骨子】
・郵便貯金(ゆうちょ銀行)の預入上限額が今の1,000万円から2,000万円に
引き上げ。
・簡易保険(かんぽ生命)の保険金加入限度額を今の1,300万円から2,500万円
に引き上げ。
・日本郵政グループは5社体制から3社体制に再編。郵便事業会社、郵便局会社
は持株会社と統合し親会社を新設。
・親会社の株式の1/3超は政府が保有する。
・非正規社員10万人を正社員化する。

亀井大臣は「民営化は維持する」というものの、流れは完全に「国有化」ですね。
この結果、何が起きるか考えてみたいと思います?

■民業圧迫!それより大きな問題とは?

この改革案が進みますと、まず間違いなく民間銀行から郵貯への預金シフトが
起きます。
民間の金融機関の預金は1,000万円までしか保護されていません。
それが郵便貯金は2,000万円まで保護されおまけに実質国の保証がつくのです。
顧客層が同じ層である地方銀行や信用金庫、JAなどが特に影響が大きいのでは
ないでしょうか。
これが「民業圧迫」、つまり「国が民間金融機関の事業を圧迫することになる」
として問題視されていますね。

もともとピーク時には250兆円ほどあった郵貯の残高は、民営化以降ずっと減少し、
今は約170兆円ほどです。これが今回の限度額引き上げで、30%ほど郵貯が増える
のではないかと言われています。

ただ、「民業圧迫」も問題ですが、私はもっと大きな問題があると思っています。
それこそが郵政民営化の本来の意義を損なうものであり、国の方向を誤らせること
になると危惧していることです。

■「郵政国有化」での最大の問題とは?

それは「資金の国策還流」です。
そもそも金融事業とは、預金などで集めた資金を企業融資やローン、債券購入など
いわば経済市場で運用して、その利回りの差額を収益としています。また家計の
資金、企業の余裕資金などを企業の設備資金や運転資金、個人の住宅ローンなど
必要なところに分配する機能も担っています。
そのようにお金を回すことで経済は活性化します。

本来民間の経済市場に回すべき家計の資金を、実質的に国が握って好きなように
使っていてはいけない、ということで「郵政民営化」が行われたわけですが、
今回の改革案はそれをまた元通りにするということです。国民のお金を国が握る
方向に舵をきるわけです。

■「財投」の問題点は何だったか?

どういうことかもう少し詳しく説明します。

皆さんは「財政投融資(財投)」はご存知でしょうか?
ご存じの方は多いと思いますが、大事なところなのでおさらいしておきます。
「財投」を知ると郵政問題が理解しやすくなりますからね。

ざっくり言うと「財政投融資」とは、郵便貯金や年金積立金などの資金を、昔の
大蔵省の「資金運用部」というところが投資や融資で運用していた仕組みのこと
です。
投融資する先は主に「ナントカ公庫」とか「カントカ公団」といったいわゆる
「特殊法人」が中心で、融資された資金は高速道路建設やダム建設、中小企業の
事業資金、果てはよくわからないハコ物の建設などにも使われていました。
この「財投」の仕組みは高度経済成長期には国家基盤を作る上で有効に機能して
いました。国家財政が乏しい中、国民のお金(郵貯資金)を使って社会的なイン
フラを作ることができましたし、特に土木・建設業界を活性化させ地方経済を豊か
にしました。

時代は変わっても、国家予算でも何でもない民間資金が有象無象のところに公共
投資の名目で厳正な審査やチェックもないまま継続的に行われてきました。
平成に入り、日本が低成長時代になっても「景気対策」の名のもとに公共投資は
続けられ、その過程で、官僚の天下り団体や、政治家と業界との利権などの弊害
を生みながら国と地方の借金が増えて行ったことは皆さんご存じのとおりです。

その存在が問題視されて、郵政民営化前の2001年には「財投改革」が行われました。
その時に大蔵省資金運用部は廃止されたのですが、それまで資金運用を任せきりに
していた郵貯がいきなり巨額の資金を単独で運用することができるはずもなく、
結局、今も財政投融資を債券化した「財投債」という名の国債を中心に運用されて
います。つまり本質的には、財投は以前とあまり変わっていない状態が続いています。

このままでは日本の財政は悪化の一途であるとして、この資金の流れの源泉を断ち
切ることが郵政民営化の大きな意義でした。
「政・官・財」癒着の構図を断ち切るにはその根本である資金(=財投)の流れを
変える。
省庁をスリム化し、天下りをなくし、日本の財政を立て直す、それが郵政民営化の
大きな目的のひとつでした。

■財投はすでに復活している!

しかし、麻生政権以降のここ数年の郵政民営化見直し路線の中、財投は大復活!
その規模は今も拡大中なのです。

<2010年度 財政投融資計画、30年ぶりの伸び率へ> 【2009年12月25日付 朝日新聞】
『政府は25日の臨時閣議で、2010年度の財政投融資計画を決定した。当初計画比
15.7%増の18兆3569億円と、2年連続の増額となった。緊急経済対策を踏まえ、
企業の資金繰り対策や地方公共団体の資金調達支援などに対応する。約30年ぶり
の高い伸び率だ。』

今の、日本国の年間の歳入はざっと約40兆円、歳出はなんと約90兆円です。その差
50兆円は結局国債という将来への借金でまかなっています。その国債を買い支えて
いるのが、郵貯と簡保の資金です。
景気悪化に伴って緊急性が高いとはいえ、国債依存の歳出増加傾向は当面続きそうです。
今回の郵政改革案はその原資を確保することが狙いなんでしょうね、きっと(?)。

郵貯・簡保資金を減らすことで、自律的に財政の健全化に向かうことを目指した
郵政民営化は完全に立ち消えました。

民主党は「官僚主義」を変えたいんじゃなかったのでしょうか?
「政・官・財」の癒着の構造を断ち切ると言ってませんでしたでしょうか?
国民のお金を政府が吸い上げて何をするつもりなんでしょうか?
肥大化する郵政はどう黒字化するつもりなんでしょう?
そもそも金利が上がったらその補てんはどうするつもりなんでしょう?

それらを含めてせめて郵政国有化による今後の国民負担はどうなるのかの試算は
しっかり出してほしいと思います。

今回は少々憤ってみました。次回もお楽しみに!

【編集後記】 「まだまだ憤っております」

今回の改革案は、国民新党主導の内容ですから、民主党の議員さんは反対している
人は少なくないようですね。是非しっかりと修正してほしいと思います。
しかし、そもそも国民新党は前回の衆議院総選挙では代表の綿貫氏は落選したし、
議席数を減らしているわけですよね。つまり「郵政国有化」なんていうのは全然
民意を反映していないと思うのですが・・・。
おかしくないでしょうか!?
・・・と日曜のテレビを見ながら憤っておりました。