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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第34号 『サブプライム問題を考える-その3』
    ~サブプライム問題を深刻化させた証券化の仕組みとは?~
2008/02/19

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』 第34号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を
送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は「サブプラム問題を考える」の第3回目。
「サブプライム問題を深刻化させた証券化の仕組み」についてです。

『サブプライム問題を考える3』
〜サブプライム問題を深刻化させた証券化の仕組みとは?〜

前回は、サブプライム問題の原因としての「アメリカの住宅ローン制度」について
書きました。今回はもうひとつの原因、「証券化の仕組み」についてです。
この「証券化」が、サブプライム問題をアメリカだけではなく、全世界的な問題に
深刻化させた張本人です。

■疑問:なぜ世界的な問題になったのか?

まず、はじめのシンプルな疑問。
「サブプライムローンで問題になっているローン残高ってどれくらいなのか?」
これは実は大体分かっていて、50兆円くらいじゃないかと言われています。

次の疑問。
「50兆円くらいであればなぜアメリカで処理できないのか?なぜ世界中に問題が
広がったのか?」

最初のうちは↓こう言われていました。
・サブプライムは一握りの住宅ローン専門会社がずさんな審査をしていた。
・そういうところはもう倒産して市場から排除された。
・サブプライムの問題債権残高は約50兆円。それに対し、欧米のGDPは2,800兆円も
  ある。
・だからそれほど問題なし!

問題おおありですよね。今や。
こうなってしまった大きな原因が「証券化」なのです。

■サブプライム問題:証券化の仕組みとは?

ここで簡単に証券化の仕組みを説明します。

・まず、住宅ローンの債権がまとめて住宅ローン専門会社から投資銀行に
持ち込まれたあと、小さく分けて債券化されます。
これで住宅ローンは「モーゲージ証券」(MBS)という金融商品になります。

・MBSなどの債券はリスクに応じて格付けされます。
格付けランクはこんな感じです。
「AAA」(トリプルA):シニアなどと言われます。
「AA」~「BB」(ダブルA~ダブルB):メザニンなどと言われます。
「格付無し」:エクイティとかジャンクとか言われます。

サブプライムローンだけのMBSだったら、当然リスクが高いですから、
格付けは「トリプルB」とかになります。
この格付けだとハイリターンを狙う投資家くらいしか買ってくれません。
そんな投資家はそれほど多くはないですよね。

問題はここから。
・サブプライムローンのMBSはここから更に細かく分けられます。
他のMBSや社債などの証券と組み合わせて、「再証券化」が行われます。
こうして複雑に組み合わされた証券は、「債務担保証券」(CDO)と呼ばれます。

・この債務担保証券(CDO)をまた束ねて、証券化して、格付けして、投資家に
販売されます。

・このように「小口化されて、組み合わされて、それがまた小口化されて・・・」と
いったことが繰り返し行われます。

うーん、こうなるともう訳がわかりません。
もはや元のサブプライムローン部分がどこに含まれているのか分からないほどの
複雑な金融商品の出来上がりです。

小口化されて、それなりの格付けがついていれば流動性は高まります。
多くの投資家や金融機関が買って持っている債券はこのようにして何度か
再証券化が行われたものなのです。

■証券化プロセスの問題点

債務担保証券(CDO)を作るプロセスには業者も複雑に関わります。
住宅ローン専門会社、銀行、証券会社、格付け会社、債券保証会社(モノライン)
などです。

そこで、証券化のプロセスで特徴的な点(・・・というか制度上どうだろうか、と思う点)
が2つあります。
ひとつは、組成にかかわる業者への報酬が「組成した段階で支払われること」です。
「前払い」です。
ローンを実行して報酬もらって終わり、証券化して報酬もらって終わり、格付けして
報酬もらって終わり、です。
ですから、「将来的に住宅ローンが債務不履行にならないか」というような、
本来もっと根本的なことへの関心が薄くなりやすい仕組みと言えます。

もうひとつは、「リスクが分散されすぎて、責任の所在がわからなくなってしまい
やすいこと」。
もとは、トリプルB程度の債権が、分けて束ねたりしているうちにトリプルAになって
しまったりしますし・・・。(この格付けトリックの主役である債権保証会社「モノライン」
については次回にします)

■解決策はどうすればよいのか???

もともとは返済が困難と認識されているローン残高は、50兆円程度でした。
これが、アメリカ自慢の高度な金融テクノロジーの産物である「証券化」の仕組みに
よって、細かくいろんな担保証券にまぶされて、総額300兆円とも400兆円とも
いわれるほどに大きくなりました。

この問題を解決するにはどうすればよいのでしょうか?

先日のG7(先進7カ国財務首脳会議)でこう言われてましたね。
・サブプライムローン債権を精査せよ!
・損失額の確定を急げ!
・引当なり資本増強なりで信用回復をせよ!

複雑な金融商品を細かく分解しなおして、問題となっているサブプライム債権だけを
抜き出すことです。
そして査定をし直して、必要に応じて資金投入などを行うことです。

しかしこれも現場が分かっていない話。
これが出来れば苦労はしないっすよ!ね。

アメリカの金融機関の人はこう言ってました。
「これだけ複雑に小口化されたらもうどこにどれだけあるかわからない。それに
もともとのサブプライムローンが審査段階でいい加減だったんだから、ひとつひとつ
抜き出したとしても返済可能かどうかなんてわからない。もはや住宅ローン会社も
投資会社も誰にもわからないよ。」

「損失額の算定ができないこと」
これがサブプライムの一番本質的な問題なんです。
もはや「世界的な金融システムそのものの問題」になっているのです。
日本でも以前同じように金融システムが問題になった状況がありました。
小泉政権前の銀行の不良債権処理のときです。
処理しても処理しても、あとからあとから出てきました。
あれはバブルのころめちゃくちゃな貸し方をしていたので、元の融資がきちんと
精査できなかったことが一因でした。

さて、今後の私たちの関心は「日本にはどれだけ影響があるのか?」ということ
でしょうか。
私は大いにあると思いますね。特にこれから。
次回はそのあたりを中心にサブプライム問題の最終回。
問題の本丸と言われている「モノライン」についても言及したいと思います。

お楽しみに!

【編集後記】

サブプライムの影響もあって、原油や商品市場にお金が流れて、私たちの生活にも
影響が出てきていますね。
先日、農水省が「輸入小麦の30%値上げ」を発表しました。
調べてみたら、日本人ってものすごく小麦を食べているそうです。

パンはもちろん、揚げ物などの料理にも使いますし、うどん、そうめん、中華めんなどの
麺類や、ケーキ、まんじゅう、たい焼きやお菓子などなど・・・・と食品全般に値上がり
が波及しそうですね。
なぜなら小麦の約90%を輸入に頼っているからです。
将来の子供の世代のことを考えると、食糧自給率低下問題について社会的に考えて
いかないと大変なことになるな~と思ったりしています。