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ハッピーリッチコラム バックナンバー

第33号 『サブプライム問題を考える-その2』
    ~バブル崩壊は必然?米住宅ローン制度の問題点~
2008/02/05

私的年金をつくろう 『ハッピーリッチ・アカデミー』 第33号

こんにちは!
明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を
送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は「サブプライム問題を考える」の第2回目。
アメリカの住宅ローン制度の問題点について考えてみたいと思います。

『サブプライム問題を考える2』
〜バブル崩壊は必然?アメリカの住宅ローン制度の問題点〜

それでは「サブプライム問題」です。
この問題を理解するにはアメリカの住宅ローン政策や金融制度とその運用実態に
ついて知っておかないといけません。

まずそもそもの原因について2つの視点から掘り下げてみたいと思います。
2つの視点とは「住宅ローン」と「証券化」です。
まず今回は一番根本のところの「サブプライム層向けの住宅ローン」について
みてみます。
アメリカの住宅ローンの何が問題だったのでしょうか?

■日本とアメリカの住宅ローン制度の違いとは?

まず、基本中の基本から確認します。
住宅ローンの手続きについて、「日本の場合」と「アメリカの場合」について
おさらいしてみます。
(※実際はもっと細かいですし、「フラット35」のように例外もありますが、
  ここではすごくシンプルに言いますのでご了承を。)

まず「日本の場合」。
参加者は2人。「お客さん」と「銀行」です。
「銀行」が「お客さん」の年収などの信用状態を慎重に審査して融資をします。
万が一「お客さん」が失業したりして、住宅ローンを返せなくなった場合には、
融資した銀行が損失を被ることになります。シンプルです。

次に「アメリカの場合」。
参加者は4人に増えます。
「お客さん」と「銀行」に加えて、「住宅ローン専門会社」と「投資家」が登場します。

1)最初に、「銀行」が「住宅ローン専門会社」に住宅ローンの元のお金を融資します。
2)次に、「住宅ローン専門会社」が「お客さん」を審査して融資を行います。
3)その後、「住宅ローン専門会社」は住宅ローンをまとめて証券化して「投資家」に
   売却します。
4)最後に「住宅ローン専門会社」はその売却資金を「銀行」に返済します。

このように、「銀行」が直接「お客さん」に貸すのではなくて、間に「住宅ローン専門会社」
が入ってそれを証券化して「投資家」に売却するという手法が一般的です。

役割でいうと、
「銀行」は住宅ローンを担保にした元々の資金の貸出し、
「住宅ローン専門会社」は「お客さん」の審査、
「投資家」は住宅ローン債権のリスクを取る、といった感じです。

ですから、今回のサブプライム問題のように、「お客さん」が住宅ローンを
返せなくなったときに損失を被るのは「投資家」になります。

メリルリンチやシティバンクなどの世界的な金融機関がサブプライム関連で
巨額の損失を出しましたが、これは「銀行」としてではなくて、「投資家」としての
損失ですね。

で、今回のサブプライムでは、この「住宅ローン専門会社」がめちゃくちゃな審査をして
住宅ローンをガンガン貸したのが問題の発端です。

昔ながらの住宅ローンの仕組みであれば、銀行は住宅ローンを貸すと、それを20年も
30年もずっとローン債権で保有しますから、そのローンを焦げ付かせないために
慎重に審査してから融資を実行しています。
審査が甘くて返済不能となれば、結局損失を被るのは銀行自身ですからね。

アメリカでは「審査する人」(住宅ローン専門会社)と「リスクを負う人」(投資家)が
違います。
まずここが問題点のひとつ。

■住宅取得優遇税制に無理はなかったか?

次に、皆が住宅を買いたくなるような政策を行政もとっていました。
住宅がどんどん売れて一番バブルだと言われていたカリフォルニア州の場合です。
例えば「住宅ローン控除」。
日本でもこの優遇税制はありますが、たかだがローン残高の1%程度が所得税から
控除されるだけです。最大でも10年か15年で160万円までです。

それが、カリフォルニア州では、利息の全額が控除対象になります。
利息の全額ですよ!

だから、「借入れから当初5年間は利息返済だけです!」(元金返済は6年目から)と
いった「インタレストローン」なるものも流行りました。
これだと家を買ってローンを組んでおけば、当初5年間はほぼ所得税を払わなくて
よくなります。

さらに住宅を買い換えるときに譲渡益が出たときにも優遇措置があります。
夫婦の場合で50万ドル(約5,300万円)までは非課税です。
自分で住む家だけでなく、別荘などのセカンドハウスまで適用されます。

ですので、実際にこんな人も多かったそうです。
・インタレストローンを組んで5年間は利息だけ支払う。(←しかも全額税額控除)
・5年経過して、ローンの元金返済が始まる前にローンを借り換えるか、家そのものを
  買い換える。
・買い換えるときには家の価格が上がっているので譲渡益が出る。(←でも非課税)
・さらにグレードアップした家を買う。
・これを繰り返す。

これだと・・・
「ちっとも住宅ローンが減らんやん!」と思いますよね!?
「家の価格が下がったら破滅やん!」と思いますよね!?
そんな私たちの感覚は正常です。

でも、そんなこんなでカリフォルニアなどの住宅価格が上がっていた地域では
次々と買い換えが起きて住宅ローンの残高は積み上がっていったのです。

■アメリカの住宅ローン制度の問題点

ロスアンゼルスの現地金融機関の方が住宅ローン専門会社についてこんな風に
話していました。

「住宅ローンは通常は住宅価格の80%程度の金額が普通なのですが、
そこを100%以上で貸し出す事が多かったですよ。金利も信用度の低いサブプライムでは、
プライムレートより2%程度上乗せするのが普通なのに、逆に-2%でキャンペーンを
張ったりしていましたしね。不動産評価を改ざんしたりする悪質な業者もいましたし、
とにかく無理な貸付が横行していました。インタレストローンなんかは5年以内に
売却できずに元金返済が始まると大変なことになります。2008年に段階金利ローンの
金利上げのピークが来ますので、ローン破綻者は相当増加するでしょうね。」

また、日本ではまだまだ少ないですが、アメリカではインターネットでローンを
販売している場合も多いようです。この場合、完全に業者と非対面です。
つまり、業者はイケイケで調子のいいことしか言わないし、ネットの場合でもローンに
関する説明をじっくり受けることがありません。
だから、金利変動のリスクやインタレストローンのステップ返済のリスクなどを
よく理解しないまま借りている人も少なくないでしょう。
「それって制度として問題だなぁ」と私などは思うのですが、アメリカの銀行の人は
「それは借り手責任の問題。つまりリスクも知らずに借りたほうが悪い。」と言って
いました。
これって大人の社会というのでしょうか?

まとめますと、
・住宅ローンを借りる人は、自分のリスクをよくわかっておらず、そもそも転売目的の
  人も多かった。(←この場合は返す気すらない)
・ローンを競って貸し出した専門会社は、リスクも説明せずに審査も甘くして貸し出し
  競争に奔走した。
・行政はそういう仕組みを作っておいて景気浮揚のために住宅促進政策を取り続けた。

アメリカの「自己責任文化の結果としての無責任社会」を見る思いです。

次回は、もう一つの問題点、「サブプライムローンを深刻化させた証券化の仕組み」に
ついてみてみたいと思います。

お楽しみに!

【編集後記】「ギョーザ被害もサブプライムと一緒?」

農薬入りギョーザの問題が世間を騒がしています。これもひどい話ですよね。
サブプライムも「そもそも一握りの不心得な住宅ローン専門会社がいい加減な審査を
したからこうなった。」という話が当初ありましたが、そういう事態を引き起こす
文化というか制度がアメリカにあったわけだと思うのです。その結果として今、
全世界が迷惑を被っています。

今回のギョーザ被害も中国全体の食の品質管理や農薬利用に対する考え方、食品工場
などの従業員の待遇など社会制度そのものに問題があると思うのです。
「一握りの不心得な食品工場、もしくは従業員がしでかした。」という話で一件落着と
ならないことを願うのみです。
なんかそうなりそうですけど。